平成20年度狛江市市民参加と市民協働に関する総合的評価
平成20年度狛江市市民参加と市民協働に関する総合的評価
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【第一章 市民参加と市民協働の総体的評価】
平成20年度の市民参加と市民協働の総体的評価を行うにあたり、関係者への評価アンケートを実施してから2年目であること、また市民参加・市民協働の提案制度が導入されて、市民協働について具体的な展開が開始された年度であることなどを考慮した。特に評価アンケートでは、その詳細と成果、提案制度導入の実施初年度の実態、評価のあり方、補助金の詳細について重点的に議論した。
まず第1点として、市民参加の審議会等の数は、昨年より13件増加している。公募市民委員のいない審議会等の数も増えているが、これらについては一定の理由があり、やむを得ないものに限られていたと推察できるが、さらに個別に検討する必要がある。また、市民協働事業の件数も昨年より増加し、特に「共催・後援」が増えた点では裾野が広がったといえる。財政的支援の「新しい風」補助金には、11団体の応募があったという点ではいくらかは裾野を広げている。またパブリットコメントも件数が増加し、意見提出者が増えた。しかし公聴会は、それを必要とするような案件がなく行われなかった。
次に、「公募市民委員アンケート」と「市民協働事業評価アンケート」を実施してから2年目にあたり、行政は指摘された部分の管理職研修を行うなど、一定の成果を上げた。公募市民委員アンケートでは81%が参加したことに満足しており、市民参加の進展が望める。一方、「応募当初と考えていたことが違っていた」、「審議の内容が分かりにくい」などもあり、これらを解消する工夫も必要である。市民協働事業評価アンケートでは、行政側と市民団体側との評価の異なる部分の改善とともに、アンケート対象の選定方法についても考える必要がある。
次に、市民参加に関する「公開」「公表」に関しては、19年度では特に低下していたが、20年度は行政の努力もあったせいか持ち直してきた。パブリックコメントには、検討経過や結果の速やかな公表が必要であるが、この点では課題がある。また補助金額の9割を占めている保健・医療・福祉分野の大型事業については、その決定方法や金額の使用説明、実績成果の情報公開など、実態を分かりやすく公表することが望まれる。
最後に、19年度には市民参加・市民協働の提案制度が導入され、協働事業1件を採択した。これに基づき20年度から行政と市民団体との協働の取り組みが行われ、モデルケースとして評価の対象とした。初めての事業であり市民団体と行政の双方の意志疎通で課題も多いが、それを乗り越えて模範となる事業として展開することを期待する。
今後も、市民参加・市民協働の一層の進展を望む。
【第二章 市民参加の評価】
1.平成20年度の市民参加の実施状況と評価
(1)市民参加についての全体的評価
平成20年度市民参加の実施状況調査によれば、当該年度は31の審議会等における公募市民委員の設置に加えて、13の事業で市民説明会、市民フォーラム、ワークショップやパブリックコメントなどの手法によって市民参加の手続きが実施された。
「狛江市の市民参加と市民協働の推進に関する基本条例」(以下、基本条例)は、第5条において、市の実施機関が市民参加の手続きを実施しなければならない対象を具体的に規定している。平成20年度において5条に該当するものとして市民参加の対象となるのは、31審議会等のうち27審議会等、13事業のうち7事業であった。それ以外は市の実施機関が「自主的に市民参加を行っている」ものであり、行政の対応はおおむね積極的であると評価できる。ただし、個々の進め方については課題を残すものもある。
「基本条例」は、1 まちの主体である市民が自らの責任と役割を自覚して市の行う活動に積極的に参加することにより、市民と自治体の信頼に基づくパートナーシップを醸成すること、2 この結果として得られる、より市民に開かれた行政の実現を通じて、新しい社会に対応したまちづくりを積極的に進めていくこと、を理想とする。
市民参加の推進は、短期的には行政に負荷がかかることは避けられないが、「基本条例」の掲げた理想からすれば、目先の労力をいとうことなく、長期的な視点にたって信頼を積み重ねていくことが、新たなまちづくりを効率的に進める条件を整え、まちづくりの推進力を生み出すという視点が肝要である。狛江古代カップ多摩川いかだレース実行委員会や「音楽の街-狛江」推進事業実行委員会など、主体的に楽しみながら、まちづくりに参加している市民は少なくない。こうした市民と行政との関わりを、より目に見える信頼関係にすべく、一層の努力と工夫が期待される。
市民による市民参加方法の提案制度については、平成20年度も提案はなかった。このことは、この制度が十分に周知されていないことや制度自体が使いにくいものである可能性もあるが、行政に対する市民参加の進め方については大きな不満がないのではないかと考えることもできる。
(2)審議会等における市民参加の評価
審議会等への市民参加としては、市民委員の公募、委員の公表、会議の公開、諮問事案等の公表、会議録の作成と公表などが適切に行われたかなどが評価の対象となるが、平成20年度市民参加の実施状況によれば、これらは概ね実施されている。実施されていない場合、例えば公募市民委員を設置しない場合については、法律の規定に基づくものか専門的・実務的な検討を行うものであり、やむを得ないものに限られていたと推察できる。特に平成19年度は諮問事項の公表件数や会議の公開件数が急減していたが、平成20年度はこの点について改善が図られたことを評価したい。
一方、上記のわずかながら残された市民参加未実施の審議会等については、真に止むを得ないものであったか、可能な範囲でその在り方を個別具体的に見ていくことも必要と思われる。また公募市民委員については、引き続き応募者数を増やす工夫が求められる。
公募市民委員アンケートにより、市民の側から市民参加を評価した。アンケートによれば、回答者の60%が「審議内容が充実していた」とし、57%が「意見が取り入れられた」と感じており、66%が「答申内容に満足」し、81%が「参加して良かった」としていることなどから、各種審議会等への公募市民委員としての参加が、市民参加としてほぼ適切な役割を発揮していると推察される。ただし審議会等の運営については、審議内容に対する公募時の説明の充実、初めて参加する委員への情報提供、難しい審議内容についての委員へのフォローなど、公募市民委員に配慮した工夫の必要性も指摘された。
(3)5条該当事業における市民参加の評価
審議会等による市民参加手続以外で5条該当事業として市民参加の手続きがとられたものには、1 コミュニティーバス運行内容、2 商店街振興プラン策定、3公共施設再編方針策定、4 障害福祉計画、5 市民活動支援センター設置計画、6 保育計画、7介護保険事業計画及び高齢者保健福祉計画の7事業における説明会やワークショップの開催、パブリックコメントの実施などである。
1 コミュニティーバス運行内容については、延べ8回に及ぶ市民説明会・報告会に100人を超える市民が参加し、パブリックコメントには30件の応募があった。市民参加の目的を一定程度果たした行政の努力は評価されるが、市民全体に与える影響を勘案すれば、より多くの参加が求められた。また、説明会については、切実な関わりのある市の福祉関係部署や小田急バスからの参加がなく、参加者の質問に充分な回答をしきれなかったことなども指摘され、反省点も残した。
2 商店街振興プラン策定については、説明会の参加は2人にとどまり、パブリックコメントの応募は8件であった。素案公表から説明会の開催、パブリックコメントまでの日程を適切に確保すること、説明会は主要な参加対象者の来場しやすい時間帯を工夫すること、などが今後考慮すべき課題である。
3 公共施設再編方針策定は3回の市民ワークショップ開催とパブリックコメントを併用した。ワークショップは参加が30人、パブリックコメントは意見提出者が74人にのぼり、市民の関心の高さを伺わせた。しかし委員会での報告書の取りまとめに時間がかかり、パブリックコメントの内容が4月末まで公表されなかったことは残念であった。該当する委員会では「公募市民の意見が変わることが多く、集約が困難だった」との報告もあり、意見とりまとめの困難さが推察されるが、市民参加を進める上での結果公表の大切さを勘案すれば、今後は改善が求められる。
4 障害福祉計画では、市民説明会とパブリックコメントが実施されたが、いずれも参加は12人にとどまった。基本条例5条(3)該当の事案であるが、期間が非常に限られていたため、十分な参加の効果が発揮できなかった。市民の積極的な参加を得るためには、スケジュール面の十分な工夫が求められる。
5 市民活動支援センター設置計画では、設置検討委員会による最終報告案の市民説明会が開催され13人が参加した。影響の及ぶ広さから言えば、参加は低調であり、日程等の工夫が不足していたのではないかと懸念される。
6 保育計画は、待機児童数が50人を超えたため児童福祉法の規定により市民説明会を2回にわたって実施したが、参加者は合わせて4人にとどまった。この問題の社会的な関心の高さ、切実さなどを勘案すると、参加者は余りに少な過ぎる。開催方法や内容について、市民の実情や要求との間に乖離がなかったか検証が求められる。
7 介護保険事業計画及び高齢者保健福祉計画は、そのあらましについて市民説明会が開催され、30人が参加し、市民の一定の関心が示された。しかし市民説明会についての報告書は作成されたものの公表はされておらず、市民の関心に応える上で疑問が残る。
多くの事業で市民参加の手続きをとる努力はされているが、それぞれについて見ると、より多くの人の参加を求めるための工夫という点で、未だ課題が多い。今後さらに工夫して行う必要がある。
(4)その他の事業における市民参加の評価
行政により自主的に行われている市民参加としては、市長への手紙、市長と語る会、市民参加と市民協働に関する審議会フォーラム、青少年会議、総合型地域スポーツクラブ市民説明会、社会教育委員の会議市民フォーラムがある。
これらへの参加は、市長への手紙が336件、青少年会議が5回で延べ127人、社会教育委員の会議市民フォーラムが80人など、市民参加の裾野を広げる上で大きな役割を果たしている。5条該当の事業でありながら必ずしも市民の広範な参加に成功していない事業については、このような該当外の事業における市民参加の積極面から学べることがあるのではないかと思われる。
2.平成20年度の市民参加における課題
(1)審議会等における市民参加の課題
市民委員の公募、委員の公表、会議の公開、諮問事案等の公表、会議録の作成と公表などについては概ね実施されている。わずかながら残された未実施の審議会等については、真に止むを得ないものであったか、可能な範囲でその在り方を個別具体的に見ていくこと、また実施されている審議会等については、その審議の内容や質の検討を行うことが求められる。
以下、項目別に課題を整理する。
1 市民委員の公募について
1)市民委員を公募していない審議会等は11件あるが、これらについては本当に市民参加が無理なのか検討すること(注1)。
2)市民委員の枠があるが、市民委員不在の審議会等が1つある。募集する努力が必要である(注2)。
3)公募市民委員が2名以下の審議会等が12件あった。前年度の答申では3名以上は必要だとしており、やはり市民委員の発言からすると、3名以上確保する努力が求められる(注3)。
4)市民委員公募の規定はあるものの、審議会等そのものが開催されなかったものが1つある(注4)。
2 会議の公開、会議録の公表について
1)非公開の審議会等については、それぞれの事情があり、やむを得ないものもあるが、努力すれば公開できるものがあると思うので、努力してほしい(注5)。
2)会議録を公表していない審議会等は無いが、4週間以内で出来ていないものがあ
る。できるだけ4週間という努力目標でやってほしい。
3 市民委員から見た審議会等について
市民は、市民参加を通じて自己の意見が取り入れられれば満足感を得られる。8割以上の市民委員が「参加して良かった」と回答している。行政はこうした市民の受け止めを充分に理解し、より積極的な参加を通じて、行政のレベルアップが行われるように配意するようさらに努力してほしい。また、審議会等の運営については、審議内容に対する公募時の十分な説明、初めて参加する委員への事前解説や内容が難しいと感じる委員へのフォローなど、市民委員に配慮した工夫を行うことが望まれる。
(注1)市民委員を公募していない審議会等:防災会議、国民保護協議会、交通対策調整会議、生活安全対策協議会、青少年問題協議会、青少年問題協議会小委員会、青少年薬物汚染防止対策推進会議、教育委員会、教育委員会の自己点検及び評価に関する審査委員会、文化財専門委員の会議、公民館運営審議会
(注2)公募はしているが市民委員不在の審議会等:環境保全実施計画推進委員会
(注3)市民委員2名以下の審議会等:市長の資産等の公開に関する審査会、特別職報酬等審議会、商店街振興プラン策定委員会、市民花火大会準備委員会、国民健康保険運営協議会、都市計画審議会、青少年健全育成活動実施委員会、ビン・缶リサイクルセンター運営委員会、社会教育委員の会議、スポーツ振興審議会、総合型地域スポーツクラブ設立準備委員会、市立図書館協議会
(注4)未開催の審議会等:自転車等駐車対策協議会
(注5)非公開の審議会等:特別職報酬等審議会、教育委員会(人事案件のみ非公開)、教育委員会の自己点検及び評価に関する審査委員会(平成21年度からは公開)
(2)5条該当事業における市民参加の課題
市民の参加が少ない事業が目立つが、参加が少ないのはいかなる理由によるかを、それぞれの実施者において検討し、次回以降に生かす必要がある。(注6)
市民参加の成否の評価には困難を伴うが、20年度実施の7事業には克服すべき傾向として、A.不満による参加集中と意見山積(公共施設再編方針策定など)、B.あきらめによる参加低調(障害福祉計画、保育計画など)、C.スケジュール上の無理による参加低調(障害福祉計画、市民活動支援センター設置計画など)の3つを示すものがあったように推測される。Aについては、市民参加をすすめる上での合意形成の工夫が、Bについては可能な限り市民意見を取り入れて結果を市民に返す工夫が、Cについては企画段階からの十分なスケジュール管理が求められる。
また、たとえ不満が少ない場合でも、施策の実施に多くの市民の主体的な協力を得るためには一定の市民参加を実施することが有効な場合がある(コミュニティーバス運行内容、商店街振興プラン策定、介護保険事業計画及び高齢者保健福祉計画など)。こうした場合、市民参加の裾野を広げ、市民と行政が知恵を出し合うために工夫をすることが求められる。
さらにより多くの参加を得るためには、関係者への積極的な働きかけや、参加によって得られた成果の公表が求められる。
(注6)参加が少ないのは、行政に対して大きな不満がなかったともいえるので、参加が多ければ良いと単純に評価はできないが、また、参加をしても意見が取り入れられる期待がなければ、あきらめ感から参加は低調になることもある。
(3)その他の事業における市民参加の課題
主体的に楽しみながら、まちづくりに参加する市民の裾野を広げ、市民と行政との関わりを目に見える信頼関係にすべく、一層の努力と工夫が期待される。
【第三章 市民協働の評価】
1.平成20年度の市民協働の実施状況と全体的評価
(1) 市民協働についての全体的評価
平成20年度に行われた市民協働事業については、1 財政的支援、2 参入の機会提供、3 共催・後援、4 意見交換・情報交換の4分野に分けて評価を行った。
市民協働事業の総数は、平成19年度と比較して1~3の分野で増加し、総数は236件となった。全体で40件増加しているが、内容的には特に前年度と比較して大きな変化は見られない。
1 財政的支援の総数は22件、「補助金事業」が2件増加し、「その他事業」では変化が見られなかった。事業分野ごとの交付額としては、個別の件数や交付額に変動はあるものの、保健・医療・福祉分野が全体の9割を占めている状況は変わらない。今回、補助金等事業件数から「交付金」という項目を外した。昨年度の評価によって協働事業の分野についての概念・定義を整理した結果、それまで分類されていた「交付金事業」は「補助金事業」として計上することにしたからである。
2 参入の機会提供の総数は38件、「委託事業」「協定事業」ともに1件ずつ増加し、「その他事業」では変化が見られなかった。参入団体数としては、3団体増加した。分野別の事業件数と支出額については、「まちづくり」「学術・文化・芸術・スポーツ」の分野で、件数・金額ともに大きい割合を占めている状況は変わらない。
3 共催・後援の総数は174件で、前年度比で37件と大幅に増加した。「共催」は8件増加し、「後援」は29件増加した。しかしながら団体数は7件の増加にとどまっており、同一団体が複数の共催や後援を受けていることが分かる。
4 意見交換・情報交換の総数は2件で、1件減少した。公民館利用者懇談会が2件あり、例年行われている。
市民参加手続き並びに市民協働事業の提案制度は平成19年度に開始され、平成20年度には19年度における市民協働事業の公募と審査の結果を受けて、狛江地域ねこの会と健康支援課との「いのちにやさしいまちづくり」をテーマとした協働事業がスタートした。
(2)市民協働事業の充実と定着について
全体的な事業の件数に関しては増加しているものの、多くは共催・後援事業の増加であり、他については大きい変化は見られていない。個別の事業内容では、2 参入の機会提供において、新規事業の「子ども科学体験事業実施委託」や継続事業の「狛江市立古民家園指定管理業務」、「音楽の街‐狛江推進事業委託」で活発な活動が展開されていることなど、評価できる点も増えてきている。
(3)提案制度による市民協働事業
狛江地域ねこの会と健康支援課の提案型協働事業は、平成20年度に行われた公募と審査を経て平成21年度にも継続して行われており、初年度の実績を生かした取り組みへと発展することが期待される。なお同じく平成20年度の公募と選考によって、狛江青年会議所と環境管理課、サポート狛江と子育て支援課の協働事業が21年度から新たにスタートした。これらの提案事業の広がりは、行政における事業再編成への市民サイドからの働きかけとも言える側面を持っており、今後の事業の進展が期待される。
2.市民協働評価アンケートの実施について
(1)アンケートの概要
平成20年度は、昨年度の試行的なアンケート実施を受けて、各課(11課)に対して1事業ずつのアンケートを実施した。対象事業としては、市民協働事業提案制度を利用した事業、長期にわたって継続している事業、市支出額が多額な事業を中心に、市民公益活動団体との補助金事業、協定事業、委託事業、共催事業とした。アンケートは、市民公益活動団体の事業担当者と行政の所管課の事業担当者双方に、事業実施前・実施中・実施後・事業全体の4項目について10の質問を設定し、4段階で評価した。また市民公益活動団体と行政がそれぞれのアンケートを公表して意見交換を行う場を設け、問題点や課題を検証し、今後の改善へつなげていく手法をとった。
(2)評価アンケートの結果と今後の課題
アンケート対象の11事業の内訳としては、補助金事業3、協定事業3、委託事業3、共催事業2であった。アンケート結果としては、この内訳による評価の差は特に見られなかった。市民公益活動団体の自主性を活かしながら実施していく市民協働事業の特性を考えると、両者の評点が一致して高いことが必ずしも望ましいこととは言えない。両者に差があることで積極的な意見交換を進めていくことが問題解決には重要な場合もあると思われる。事業によっては、行政内の複数の所管課に係る広範囲の課題を取り扱うこともあり、行政担当者としては、協働事業で解決すべき課題に対する他課との協力した取り組みも考慮しておく必要がある。市民公益活動団体の団体としての活動の限界が事業の終了とならないように対策を検討すべきである。また、市民公益活動団体と所管課をつなぐ協働調整担当には、関連所管課も含めた連携の実績を積み上げていってもらいたい。
3.平成20年度の市民協働における課題
(1)公金支出のあり方について
審議会では、平成20年度の市民協働事業について、各事業を1 財政的支援(補助金等)、2 参入の機会提供(委託・協定・覚書等)、3 共催・後援、4 意見交換・情報交換の4領域に整理し、特に公金支出を伴う1・2について、事業概要、事業総額、交付総額、実績及び成果などの視点から精査を行った。
その結果、従来の実績を基準とする手法で決定されていると思われる事業も相当見られた。税収入が限られた現状の予算編成では、時代の変化に合わせた手法によって事業を決めていくことが必要であろう。それと共に、関係団体の基盤維持に充てる事業と行政が市民公益活動団体と協働し効率や効果を模索しながら展開していく事業に分けて検討していく必要もある。これらのことも含め、事業ごとの適切な実施方法の選択(委託・助成・補助金)と支出額、実施後の評価を、誰が何処でどう決めたかも含めて透明に進めていくことが重要である。また事業の中には設置要綱等で国・都・市の費用分担が定められているものもあり、そのような複雑な仕組みについても分かりやすく市民に公表していくことが必要である。
(2)主要な特定事業の評価と課題について
補助金・委託金において全体で大きい割合を占める保健・医療・福祉分野の主要な事業については、関連資料や協働調整担当から所管課へのヒアリングなどを通じて、事業ごとに精査を行った。その結果、いくつかの事業では補助金を決定する審査方法が未確立あるいは不明確であったり、市全体への効果という点での検討が十分でないと思われるものも見られた。また繰越金の会計処理方法など、今後の検討が必要な課題点もある。
全ての事業の評価を細部にわたってこの審議会で行うことは不可能である。一定金額以上の支出を伴う事業や一定期間以上継続的に実施してきた事業については、行政と実施団体間だけではなく、第三者が事前の審査や事後の評価を行うような仕組みづくりが重要である。
(3)その他の課題
提案制度による市民協働事業は、初めてのケースでもあって相互の情報や意見の交流という面から課題が残ったものの、一つ一つ丁寧に課題を解きほぐして、よき解決に向けた努力が行われており、今後の展開を期待したい。特に協働事業においては、とかく縦割りで進みがちな行政施策を横につないでいくという視点も重視される。
新しい風補助金については、応募団体が一定の力をつけてきたものに限定される傾向にあり、立ち上がり初期の小さな団体も多数参入できるよう、選考の基準や仕組みを検討する必要がある。
【第四章 次年度に向けての課題―提案】
以上の検討を踏まえ、今後の市民参加と市民協働をより発展させるために、以下のことを次年度に向けた課題として提案したい。
(1)審議会等における市民委員の一層の活躍を
特別の理由がない限りすべての審議会等に3名以上の市民委員が参加するようにすべきである。このため、公募による市民委員だけでなく、平成21年度に基本計画審議会の分科会や提案型協働事業で狛江青年会議所が試みたような、無作為抽出で呼びかける市民委員の参加についても積極的に考えるべきである。そのためにも、事前の十分な説明などを含め、より多くの市民委員が満足して審議に参加できるような一層の工夫が求められる。
(2)満足のいく魅力的な市民参加への工夫を
基本条例第5条に基づく参加は、十分な計画的配慮がないと形だけの「アリバイづくり」になりがちである。形だけの市民参加から満足のいく意見反映が可能な魅力的な市民参加へと向かうような工夫を重ねてほしい。
(3)公金支出はより透明性を
財政的支援(補助金等)や参入の機会提供(委託・協定・覚書等)などの公金支出を伴う協働については、前年追随ではなく時代の変化に合わせた事業決定をすべきである。実施方法の選択(委託・助成・補助金)や支出額の決定、実施後の評価を、誰が何処でどう決めたかも含めて情報公開し、透明性を高めていくことが求められる。
(4)特定事業を定めて審査と評価に第三者の目を
補助金・委託金において一定金額(例えば300万円)以上の支出を伴う事業や一定期間(例えば5年間)以上継続的に実施してきた事業については特定事業と定め、その毎年度の審査や数年毎に行う評価を、行政と実施団体間だけではなく第三者を交えて公開で行うようにすべきである。この第三者としての役割は、市民委員の参加する審議会等が果たすことも可能である。
(5)参入の壁を低くしてより多くの協働を
参加とともに協働においても壁を低くして参入の機会を増やし、協働を通じてより多くの市民活動団体が育つ工夫が必要である。その一つとして、立ち上がり初期の小さな団体も新しい風補助金に参入できるよう、選考の基準や方法を検討することが考えられる。



