現在、市では厳しい財政状況を打開するため、平成16年に緊急行動計画を策定し、行財政基盤の確立に向けて取り組んでいるところです。
 その2年目にあたる平成18年度予算案がまとまりました。緊急行動計画に基づき、収支均衡型財政への転換を進めながらも、「子育て」、「健康」、「安全」、「快適・便利」、「市民文化」の5つの柱を重点施策として位置付け、市民参加・協働を主軸とした「市民が主人公の市政運営」の実現を目指します。
 定例会初日、市長は市政運営における所信を表明しました。以下にその概要を紹介します。
〔問い合わせ〕企画経営室

 平成18年(西暦2006年)狛江市議会第1回定例会にあたり、新年度に向けての施政方針と、平成18年度狛江市一般会計予算の概要等につき、説明申し上げます。

地方財政をめぐる動きと狛江市緊急行動計画の取り組み

 平成15年度から始まった「三位一体の改革」がひとまず終わりました。この「改革」は、地方分権の推進を掲げ「地方の自由度を高めるため」がうたい文句でしたが、補助負担金4兆円、地方交付税総額5兆円の計9兆円余の削減に対し、税財源移譲は3兆円という結果になりました。しかも税源移譲されたのは、義務教育の教員給与や国民健康保険、児童保護費、児童手当・児童扶養手当などの負担金であり、地方自治体の裁量が発揮しにくいものばかりでした。地方団体が国と対等の立場で議論できたことには一定の評価をするものの、結果として残されたものは地方分権ではなく、地方への支出の大幅な削減と、それに付随した国民生活に対する国の財政責任の後退だけだったと言えます。
 狛江市でみれば、平成15年度比で、補助負担金の削減が2億4,000万円、交付税総額の削減が12億9,000万円に対し、税財源の移譲額は4億3,000万円で、平成18年度では差し引き11億円が失われた計算になります。
 こうした事態を打開しようと、狛江市では平成16年に緊急行動計画を策定し、全庁挙げて取り組んできましたが、その初年度である平成17年度の財源確保目標額8億7,000万円は、ほぼ達成することができました。これも、負担増や事業の見直しなども含め、市民の皆様並びに議会のご理解とご協力によるものであり、あらためて御礼を申し上げる次第です。
 2年目の取り組みとなる本予算案は、「三位一体の改革」の最終段階の中で編成作業が進められました。当初住民税率のフラット化による税財源移譲額は、市町村7割、都道府県3割と見込まれていましたが、実際は市町村には6割しか移譲されず、狛江市の場合約2億円の減となったことから、さらに厳しい作業を余儀なくされたところです。
 こうした中で、定年退職者の不補充継続など人件費の節減、市民保養施設利用助成事業の対象を、高齢者・障がい者・子どもに特化するなど事業の見直し、また、少額補助を整理して地域福祉推進事業補助への統合拡充、社会教育団体の補助を市民公益活動団体補助に統合するなど補助制度の再構築等、緊急行動計画の推進に全力を挙げ、財源不足の解消に努めてまいりました。

平成18年度一般会計予算案等の概要

 それでは、新年度予算案の概要について、説明申し上げます。なお、数字は概算で申し上げます。
 一般会計予算は、前年度比11億200万円、5.2%増の223億7,800万円となりました。特別会計を含めた予算総額は402億円、1.9%の増です。
 一般会計の歳入では、市税は定率減税の2分の1縮小など税制改正により112億円、4.2%の増、地方譲与税は税源移譲により所得譲与税が増額されるため5億7,000万円、38.4%の大幅増となっています。地方交付税は9億4,000万円で20.7%の減。使用料および手数料は、ごみ指定袋有料化の通年化や7月からの施設使用料改定により約1億円の増を見込んでおります。
 基金等からの繰り入れは2,000万円の減額で、市債の1億4,000万円の増は緑野小学校整備が主なものです。
 歳出においては、議会費は2.0%減、総務費の1.6%の増は、市町村退職手当組合負担金7,500万円、税総合システムおよび戸籍システム構築6,400万円が主なものです。
 民生費は3.4%の増で、介護保険制度の改正等により介護予防として一部の事業が介護保険特別会計へ移行しますが、制度改正による児童・育成手当1億7,200万円、乳幼児医療費助成2,400万円の増が主な要因です。
 衛生費は0.4%増で、健康診査1,300万円、公共施設塵芥回収700万円等ごみ有料化関連経費、東京たま広域資源循環組合負担金2,100万円などが、増額要因となっています。
 労働費の増は、勤労者互助会の事務局運営に係る経費によるもので、農業費は市民農園設備整備および魅力ある農業経営育成補助の終了に伴う減額です。 商工費9・5%の減は、小口事業資金あっ旋等関係費の減等によるものです。
 土木費は26.2%の大幅増ですが、市道32号線歩道整備事業、調布都市計画道路3・4・4号線整備、前原公園北側出入口道路整備事業が主なものです。
 消防費は、第二分団器具置場新築終了による減と、洪水ハザードマップ作成、国民保護計画策定など増との差し引きで3.4%減となっています。
 教育費の10.9%増は、主に緑野小学校校舎新築工事等に12億2,000万円計上したことによるものです。

平成18年度予算案の主な事業、新年度に取り組む主な施策等

 次に、平成18年度予算案の主な事業並びに新年度に予定されている主な施策等について説明申し上げます。平成18年度予算編成方針では、緊急行動計画における施策の選択と集中を強調し、「次世代育成」「健康」「安全」などを重点事業として位置付けました。これらを具体化するために、各種補助金や交付金の確保に努め、市民協働など創意工夫をしながら、事業の新規実施、拡充に努めております。以下、予算編成方針の柱立てを中心に説明を申し上げます。

子育て一番のまちを目指して

 まず次世代育成への支援ですが、少子化の進行が、ここのところ上昇に転じたとはいえ、狛江市の平成16年合計特殊出生率は1・03と多摩地域でも低く、その対応が求められています。また、子どもたちを取り巻く社会環境はますます深刻化しており、市民ぐるみの取り組みを強めなければなりません。本予算案では、子どもたちが周囲に支えられながら成長していることを実感してもらえるよう、東京都市長会の「多摩・島しょ子ども体験塾」事業助成金を活用し、子ども感動体験事業を構築いたしました。ふるさと自然体験事業は、ふるさと友好都市新潟県川口町に受け入れていただき、子どもたちに2泊3日の宿泊体験を提供いたします。多摩川ふれあい事業は、「狛江水辺の楽校」運営協議会の協力で、山梨県小菅村の源流体験教室への参加を広げる多摩川源流体験ツアーと魚の生態を学ぶ産卵床プロジェクトを、作付けから収穫まで行う農業体験事業ではマインズ農協や農業者が、科学体験事業は教員等で構成する実行委員会、音楽ふれあい事業は児童館において社会福祉法人雲柱社と、広範な市民、団体、交流自治体の協力で実施いたします。
 私立狛江保育園の園舎改築を機に、建築設計費の助成を通じて一時保育の実施をお願いしてまいります。読書を通じて、子どもたちの思考力、感性を育てようと、先の「子ども体験塾」事業助成をここでも活用し、中央図書館での親子読書推進事業、第三小学校やさきやま文庫の活性化を目指し地域交流図書室読書推進事業を実施するとともに、小中学校の図書整備費を増額いたしました。
 児童の放課後対策の多様化と適正配置を進め、居場所のない子どもたちをつくらないよう、新年度から和泉児童館では小学生クラブ、緑野小学校では放課後クラブを取り込んだ新子どもフリープレイを開設いたします。狛江市には平成18年度、学童保育所が小学校ごとに6カ所、市内南北に1カ所ずつの小学生クラブ、2カ所の放課後クラブ、新子どもフリープレイを含む5カ所の子どもフリープレイがそろい、多様な放課後の居場所づくりが行われています。
 学校環境の整備では、平成17年度開校した緑野小学校の新校舎が夏の竣工を目指して工事中ですが、ここには屋上緑化、雨水利用、オープン教室、学年ごとの多目的ルームなど、新しい試みが数多く取り込まれています。その他、第二中学校階段天井のアスベスト対策や第四中学校家庭科室への空調機設置、各小学校コンピュータ室のパソコンを2人1台から1人1台配備を実現してまいります。不登校児童・生徒への相談、指導を充実するため、学校派遣心理相談員の派遣日数増や適応指導員の増員をいたします。
 現在、教育委員会は、特別支援教育への先駆的な取り組みを進めていますが、新年度は特別支援教育ネットワーク協議会を立ち上げ、和泉小学校に情緒障がい児通級学級を新たに開設します。これで2校に1校の割合で通級学級が設置されることになりますが、今後とも特別支援教育の体制づくりを推進いたします。

健康で優しいまちづくり

 次に、健康で優しいまちづくりについて申し上げます。高齢化が進行し、2、3年後には人口の20%を高齢世代が占めるようになります。活気ある高齢社会を築くために、健康施策を拡充してまいります。受診待機者が増大の一途をたどってきた基本健康診査の受診枠は、平成17年度に続き医師会の協力を得て1,000名拡大いたします。これで受診率は国が目標とする50%にほぼ達することになります。また新たに、西河原公園に運動遊具を設置し介護予防のための運動教室を実施します。ここでの参加者を市民リーダーとして育成し、運動教室を広げていきます。介護保険が新年度から介護予防に力点が移されますが、その一環として虚弱高齢者を対象にした栄養改善事業や口腔機能の向上事業、一般高齢者を対象とした栄養改善教室、健康セミナーなどを実施してまいります。
 昨年10月から乳幼児医療費助成の所得制限を就学前まで撤廃いたしましたが、新年度から通年化するとともに、利用者の増加をみている平日準夜間の小児初期救急診療事業を、新たに水曜日も開設することにします。
 いま国の「構造改革」のもと、一握りの勝ち組とその他大勢の負け組とに分かれていく格差社会の拡大が、大きな問題になっています。一自治体での対応には限りがありますが、社会的に弱い立場にある市民を守ることは市政運営の根幹と位置付け、ぎりぎりの努力を重ねていきます。その一環として、介護保険料のランクを5段階から7段階に変更するとともに、保険料の減免基準を拡大しています。障害者自立支援法が4月から施行されますが、負担の定率化に伴い、国や都の制度に加え、市独自の利用者負担軽減措置を導入いたします。高齢者給食配食サービスの一部が介護保険事業に取り込まれ、施設給食との公平性から、負担額を400円から500円に引き上げますが、低所得の方には従来料金に据え置くことといたしました。

安全で連帯感のある狛江づくり

 安全なまちづくりは、現在市民のもっとも強い要望の一つであり、防災と子どもの安全を重点に取り組んでまいります。
 新年度、多摩川・野川の洪水ハザードマップを作成し、今後の地域防災計画の見直しに取り込むとともに、仮設トイレ等防災備蓄の回復・充実を図り、その際備蓄体制を再構築してまいります。災害時一時避難所となる前原公園北側の出入口を確保するため道路を新設し、地域住民の安全を図ります。その他、木造住宅耐震診断助成制度を創設するとともに、災害時、市災害対策本部の設置場所となる市役所庁舎についても耐震診断を実施いたします。緑野小学校体育館の耐震・防音工事、第五小学校体育館、和泉小学校校舎・体育館、第二中学校校舎等の耐震診断を行います。また、緑野小学校新校舎の竣工・移転に伴い、児童の通学路となる市道32号線歩道整備を行い、歩行者の安全を確保します。
 防犯に関しては、今年から動き始めた安心安全情報共有システムを本格稼動させ、同じく地域防犯パトロール事業を拡充し、市民ぐるみで地域の安全を守る仕組みを強めます。また、都の補助制度を活用して小学校に防犯カメラを設置するとともに、より効果的なものとするためセンサーも併設いたします。国民保護法では、新年度中の国民保護計画策定を市町村に義務付けていますが、狛江の実情に即した住民の安全を守る計画として、その策定に入ってまいります。

快適、便利で活気のあるまちづくり

 次に、住みよい地域社会の構築を目指した取り組みです。昨年10月ごみの有料化を実施しましたが、1月までの4か月間の排出量が21%減少しました。実施直後ですので、1年を通した数字はもう少し低下すると見込まれますが、市民の皆様のご協力にあらためて感謝申し上げます。この有料化に伴い、和泉多摩川周辺の不法投棄防止パトロールの実施、利用者の利便等を図るため粗大ごみ収集のシール方式への転換を予定しており、また、セントラルハイツの生ごみ処理機更新もあわせて行ってまいります。
 商工業振興の要となる市商工会に、昨年度ごみ指定袋の販売委託をお願いしましたが、平成18年度には勤労者互助会事務局を移管することとし、会員拡大による財政基盤安定化を図ってまいります。これまで検討してきた商店街ポータルサイトの立ち上げ、農業振興計画策定は、ともに平成18年度を予定しております。
 道路に関しては、都道狛江通りの整備進捗に応じて、慈恵医大第三病院東側の市道34号線整備に着手するとともに、交通安全上懸案だった市道11号線の都道世田谷通り・一の橋交差点部の整備にも入ってまいります。

市民文化の振興と狛江らしさづくり

 最後に、「三位一体の改革」への対応や緊急行動計画の実施など、行財政改革を進めていますが、こうした厳しさの中にも夢や希望のあるまちづくり、市民協働の推進によって、元気な狛江を創っていきたいと考えます。
 一昨年、「音楽の街―狛江」づくりを提案しましたが、その後「川口町被災者救援 クリスマス・チャリティー・コンサート」、「狛江・国際交流民族音楽フェスタ」、「こまえ平和フェスタ2005」での市民公募による平和フェスタ合唱団結成、市民まつり中央舞台での市音楽連盟によるプロデュースなど、市民の多彩な取り組みが広がり、「音楽の街」への機運が醸成されてきました。第四中学校合唱部の全国学校音楽コンクール金賞、第二中学校吹奏楽部、都立狛江高校筝曲部のそれぞれ都大会金賞と、子どもたちの活躍も後押しをしてくれています。
 これらを受け、いよいよ新年度に「音楽の街―狛江」構想の策定に入ります。広範な音楽関係者、市民の声を反映するため、積極的な参加を呼びかけるとともに、「音楽の街―狛江」を目指すシンポジウムも開催する所存です。
 市民との協働によるまちづくりをさらに推進するため、「新しい風」補助金など事業提案型補助金の充実を図るとともに、地域住民を学校ボランティアとして人材活用を図るなど、開かれた特色ある学校づくりを進めるために地域交流推進事業を創設いたします。
 なお、新年度から指定管理者制度に基づき、狛江市民ホールと市立古民家園を指定管理者へ委ねることになりましたが、新たな発想による事業展開、利用促進を図り、より喜ばれる施設となるよう、努力してまいります。 

狛江市アクションプラン等の策定

 以上が、新年度の主な新規・拡充事業等ですが、市民要望はまだまだ山積しています。
 しかし、国からの地方財政削減とあわせ、税収等の大幅な増も見込めないことから、現行事業の継続さえ厳しい状況にあります。
 こうした社会経済情勢の変化に的確かつ柔軟に対処し、限られた財源を有効活用するため、社会的弱者への配慮を行いつつ事業を見直し、必要性、効率性、緊急性の高い事業へ重点化するなど、「選択」と「集中」をさらに促進してまいります。
 そのために、「狛江市アクションプラン」を策定し、中期的な予算管理への転換を目指します。このプランは、第4次基本計画の実施計画と緊急行動計画を含めた行財政改革推進計画をまとめ、5年間の行財政の見通しを明らかにするものです。現財政状況下でも何に取り組んでいくのかを示すとともに、財政基盤を確立すればどのような事業展開が可能になるのか、市民と共有するための計画でもあります。
 まちづくり総合プランにおいても、教育委員会の第一中学校と第四中学校の統合に関する考えがまとめられたのを受け、現在改定作業に入っております。ここでは中学校給食の実施や中学校の適正配置・適正規模化の推進など、重要課題に関する時期や方向性も打ち出してまいります。

今後目指すべき方向

 地方財政にとって、暴風雨とも例えられるこの2年間でしたが、議会のご理解はもちろんですが、市民の皆様の協力と職員が一丸になった取り組みによって、これを乗り越えていく展望が開かれつつあると言えます。
 これを確かなものにしていくために、残る2年間の緊急行動計画を達成させるとともに、その先、自立した都市として市民福祉の向上と魅力あるまちづくりに邁進してまいります。加えてその過程で市民参加、市民協働をさらに豊かなものとし、「市民が主人公の市政」発展に向けて、一層の努力を重ねていく所存です。
 市議会の皆様には、直面する危機を乗り越えるために、新年度の市政運営に格別のお力添えをいただけますようお願い申し上げ、私の所信表明といたします。