1 日時

平成27年3月10日(火曜日) 午後8時50分~10時45分

2 場所

狛江市防災センター 401会議室

3 出席者

出席委員:大方委員長、原副委員長、西田(幸夫)委員、西田(幸介)委員、久光委員、澤野委員、津田委員、平野委員、原田委員

事務局:松本都市建設部長、加藤まちづくり推進課長、富永まちづくり推進担当主査、小嶋主任

4   欠席者

筑紫委員、佐藤委員、土井委員、小笠原委員、松坂委員

5 議題
  1. まちづくり委員会人事について
  2. まちづくり条例案件の進捗状況について(報告)
  3. その他
6 提出資料

資料1-1 (仮称)狛江市和泉本町1丁目計画新築工事

7 会議の結果

委員長:狛江市まちづくり委員会(以下、「委員会」という。)を開会する。議事次第の1番は「委員会人事について」となっているが、時間も押しているため、その議題は後にする。まず2番の「まちづくり条例案件の進捗状況について」審議する。具体的には、(仮称)狛江市和泉本町1丁目計画新築工事となる。狛江市まちづくり指導基準に一部抵触しているという事なので、その基準を緩和して良いかどうかについて、検討を行う。

事務局:事業概略について説明する。事業場所は、狛江市和泉本町一丁目1414番1、1415番1、1416番である。この敷地は、今まで電気機器メーカーが本社を構えていた場所である。現在本社は移転済みであり、跡地にマンション計画が出されたものとなる。狛江市まちづくり条例(以下、「条例」という。)の手続として、平成26年8月11日に、大規模開発等事業構想の届出がされ、8月21日に説明会、9月24日に各課協議会を開催した。後ほど説明するが、市長の助言が10月29日、市長の助言への回答が10月31日になされた。それを踏まえて、11月26日に大規模開発等事業構想協議書を締結し、11月27日に大規模開発等事業構想完了通知書を交付している。その後、開発等事業届出書が、12月3日に、条例第28条に基づく説明会(以下「説明会」という。)が12月15日に開催され、条例第29条に基づく各課協議が平成27年1月8日に行われている。

委員長:大規模開発等事業構想協議書を見せて欲しい。

事務局:後程回覧させていただく。内容は、冒頭委員長からあった、まちづくり指導基準第11条第2項に基づき、準工業地域における敷地面積500平方メートル以上の集合住宅については、地域の住環境の維持改善のため、原則として、住居系用途地域内の建築物に適用される建築基準法第56条の建築物の各部分の高さの制限(以下、「住居系斜線」とする。)、に適合したものとするよう、事業者に対して、大規模開発等事業手続及び開発等事業の手続きで要望してきた。
大規模開発等事業構想協議書第3条において、事業者に対して、「狛江市まちづくり指導基準第11条の集合住宅の建築に関する基準を遵守するよう市と引き続き協議を行うものとするとともに、平成26年10月29日付け狛都ま発第100620号による市長の助言及び平成26年10月31日付け(仮称)狛江市和泉本町1丁目計画新築工事に係る市長の助言の回答について、条例第28条に基づく説明会において説明するものとする。」という文言を、構想協議書の中に盛り込んでいる。その結果、説明会が12月15日に行われ、12月22日に事前協議申請書が提出され、1月8日に、各課協議会を開催している。流れは以上である。では、事業者側から説明会の内容を説明していただく。

事業者:株式会社SHOW設計事務所である。当計画の事業主は三菱地所レジデンス株式会社である。設計業務は、株式会社SHOW建築設計事務所が行っている。計画は、共同住宅、住戸数が62戸で計画している。通常の3LDKのファミリータイプのマンションである。形態は、分譲住宅である。最終的には、建物の階数は、9階建てという事で、事前協議は終了している。
なお、用途地域は準工業地域、建ぺい率が60%、容積率が300%となっている。昨年の3月から、事業計画について、まちづくり推進課と協議を始め、準工業地域においては、住居系地域の斜線制限を用いるように、という指導を受け、その後、その条例の主旨を鑑みながら、計画を進めてきた。その段階で、指導基準に基づき、住居系斜線を採用する案と、準工業地域の斜線を採用して壁面線の後退をした案、どちらが周辺の住環境が良くなるのかという検討した。また道路斜線の方法論で、天空率という斜線制限の適用方法が数年前からできている。この手法を使った案となっている。
今回、壁面線の後退をして、斜線制限の緩和をする代わりに、自主管理歩道を接道面に設置している。一番後ろの資料を見ていただきたい。黄色く塗ってある所が、歩道状空地である。接道面に対して、1m幅で歩道状空地を設置する事により、道路からの圧迫感を緩和するとともに、接道面に植栽帯を設けて、街並みを良くするという考え方をしている。東側に野川緑地という緑道がある。そことの連続性を作り、住みやすい街づくりに貢献したいと考えた。また、南東に保育園がある。園児の通園との関係も含め、歩道状空地を設置したほうが良いのではないかと考えた。こういった点を、条例の主旨を鑑みながら、まちづくり推進課と協議して、このような計画で進めている。パースを見ていただきたい。

委員長:パースだけでなく、建物の基本的な形状が、平面図だけでは良くわからない。高さ関係がわかる資料を見たい。

事業者:後ろから5枚目に、立面図と断面図がある。立面図から2枚めくると、断面図があり、斜線が2本入っている。左の方の斜線が準工業地域の道路斜線1:1.5であり、右の方の斜線が住居系斜線の道路斜線1:1.25である。先程説明したように、天空率を用いた計画となっており、この道路斜線をクリアしている。向きが逆で、恐縮だが、上の段が、住居系の道路斜線を用いた計画案である。下の段が、準工業地域の道路斜線でありながら、天空率を用いた計画案である。

委員長:特に上の住居系斜線に収めた図面はあるか。

事業者:図面は手元資料として配布してある。一番下の、白焼きの2枚である。それが最終案である。

委員長:住民への説明会ではちゃんと説明したのか。

事業者:説明してある。

委員長:これが無いと、近隣住民も良くわからないと思うのだが。どういう資料で説明したのか。

事業者:今日の資料で、説明した。

委員長:途中で戸数が減るのは良いのだが、住居系の斜線に収める場合でも、天空率オプションが使えることになっている事は理解しているか。

事業者:理解している。

委員長:それならば、この案は敢えて天空率を使わないで、斜線制限内に収めたため、こういう案になっているのかと思うのだが、そういう意味の図であるか。

事業者:そうである。その図面に基づいてパースを起こしてある。パースの道路は、南側道路であり、東方向から、西方向を見ている。上段が住居系斜線を適用した場合で、下段が現在の計画の場合である。また図面を基にして、パースを落としているので、パースにも木が植わっている。

委員長:住居系斜線のパースは敷地一杯まで出したという案である。

事業者:接道緑化をするために、60~70cmは後退しているが、迫ってきている。

委員長:そういうふうに設計したということである。

事業者:道路境界から、建物まで4mセットバックし、歩道と緑地帯を設置し、マンションの専用庭を設けている。続いて西面の、壁面後退2mの案である。これが住居系道路斜線制限を用いると、道路際まで建物が行ってしまう。

委員長:そのように設計しなくても良いのではないか。住居系斜線制限を用いても、壁面後退すれば良い。なにも敷地一杯まで壁面を出せと、決まっている訳ではない。敢えて、セットバックしなければこうなると、それだけである。事業者のパースだと、上の方は見えないし、どれ程斜線が守られて、道路側が明るくなっているかわからない。単にセットバックして、歩道状空地をとったら、こう見えると、そういう事である。

事業者:そうである。それとこれは、今の場所を反対側から見ている図である。先程と同じように、植栽帯を建物前に設置し、道路境界の所に歩道状空地を設置することによって、歩行者が自由に通れる空間を作る計画である。

委員長:この件のポイントは、狛江市の指導基準上では、住居系の斜線制限を守っていただきたい、なおかつ、天空率は使っても良い、ということになっている。もちろんセットバックして、歩道状空地をとるのも大変結構なことだが、歩道状空地をとることで、斜線制限の緩和を認めるに足る貢献ができているのかどうか、あるいは斜線制限を特段緩和する必要性があるのか、そこが問題なのである。要するに、下の図は、準工業地域の斜線制限を守って作った案だと言っている。さらに天空率も使っている。よって、少し高さをどこか削れば、そのまま住居系の斜線制限に収まる訳である。なぜできないのか、そこを説明しないと、この緩和を認めるべきかどうかが、判断できない。もちろん容積率が、全部使えないからだと思うが、それは理由にならない。市は建物を10階にすれば、住居系斜線を緩和しても良いと判断されたのか。

事務局:そうである。最終的には、そのようにご理解いただけると思う。

委員長:では、この道路斜線を緩めても良いというふうに判断された理由を伺う。

事務局:10階にするからという事ではなく、事業者から説明されたとおり、1mの自主管理歩道を設置する案を示されている。市は、パースに出ているのが、丁度市役所の裏手東側を南北に通っている市道第645号線である。パースにあるとおり、現状約2m幅の片側歩道の形態になっている。この市道について明確な計画としては位置付けされていないが、将来両側歩道の形態を実現したいということで、取組を進めてきた。しかし現状では両側歩道の形態は確保できていない状況である。今回の計画で自主管理歩道の提案がされ、1mの歩道状空地を確保するということを評価した。併せて、今回計画地の西側、道路を挟んだ反対側に、現在生産緑地であるが、将来的には今回同様の建築行為あるいは開発行為という事が行われる事が見込まれている土地がある。将来そこでも、今回同様斜線制限の緩和ということが、議論の俎上に上がった場合、今回の提案と同様に自主管理歩道の設置を、協力してもらう前提で考えると、かなりの幅員の歩道状空地が確保できることになる。

委員長:市の意見はわかった。問題は、住居系の斜線制限を緩和して、9階建てで、準工業地域の斜線内に収めれば良いと緩和したことが、釣り合っているのかということである。特に住居系斜線に収めないで、それを超えるということは、近隣の住環境例えば日照あるいは通風・採光、それなりの悪影響があるわけである。例えば、住居系斜線で収めた場合と、準工業地域の斜線でやった場合の日影の図は確認済みであるか。そういう図を出して住民の皆さんに説明したところ、特段反対は無かったもしくは、事業者案を選んだということであれば納得できる。しかし、この資料では、セットバックはある程度意味はあると思われるが、対案となっている、住居系斜線に収めた案というのは、杜撰であるため比較しようがない。それから、歩道についても、1mという幅は中途半端である。却って危ないとも思われる。踏み外しの可能性や、すれ違いもできない。採用するなら、2m最低でも1.8m位の幅をとるのが、常識だと思われる。なおかつ、住居系斜線に収め、かつ自主管理歩道を作ることは十分できる。市として、この市道を広げたいと言うのであれば、その部分を買収するということだってあっても良いわけである。住居系斜線制限を基準化するという話は、現行の都市計画マスタープランを作る際に、他物件のマンションの調整会の結果を踏まえて、導入すべしという意思があり、前回の条例改正の時に、あえて指導基準に入れたものである。しかも、厳しい条件を守ってもらうために、わざわざ大規模開発等事業という手続きも新たに条例に入れている。事業者側は、指導基準の規定を承知でこの土地を購入したと我々は理解しているし、そうでなくても、大規模開発等事業というのは、計画の大幅な変更ができるという段階で協議するということになっている。よって、自主管理歩道を提供は、評価できるが、単純に住居系の斜線制限を守ることができないのか理解しがたい。それについて、事業者側からの説明を求めたい。

事業者:私どもも、一方的にこうしたいという事ではなく。市と協議の積み上げの中で、できる事とできない事を含めて、このような計画になったことを今説明している。

委員長:説明になっていない。改めて伺うと、この形で結構だが、できれば、歩道状空地をもっと広げてほしいが、それは良いとしても、この基本プランの中で、建物の高さ関係を、天空率を使って良いので、住居系斜線内に、収めることはできないのか聞きたい。それが、まちづくり指導基準の本旨である。そういう助言も最初から出ていた。とにかく住居系斜線の中に収められない、収めるべきでないと考える理由を教えてほしい。

事業者:先程も言ったが、今回は住居系斜線に収めていないが、その対案として、自主管理歩道や、より多くの植栽帯、公園等への導線の提案をしている。

委員長:対案と言う意味がわからない。主張のような、まちづくりへの貢献も、大いに結構だが、それをやっていただいた上で、なおかつ高さ関係も検討してほしい。だから最低限今回の提案と住居系斜線に収めた時の日影の図とか、あるいはパースとか、そういう資料が無いと、比較検討できない。住民には、説明会でどのような資料で説明したのか。

事業者:今の説明資料である。

委員長:これだけであるか。日影図は見せたのか。

事業者:日影図も説明している。

委員長:説明会に出した資料を全部見せてほしい。我々は、条例が、適正に運用されているかどうかを監視する役目がある。それをきちんと果たさないと、市長及び市民に対して、責任が取れない。よって、皆さんが、説明会でどのような説明をされたか、事務局とどういう応対をされたか確認したい。事務局はきちんと確認の上、日影の支障がないと判断したのか。要するに、この住居系斜線というのは、単純に高さだけの話ではなく、準工業地域の高さになると、斜線制限が他の用途地域に比べると緩い事もあって影が、従来の形で建てるより、著しく落ちるケースが多い。大体それで揉めて、調整会になるのである。この件について、そこはどうなっているのか。そこをきちんと確認しないで、単純に準工業地域で緩めたとなると、実際に建物が建った後、日影が、ひどいのではないかいうことにもなる訳である。緩和を認めるのであれば、チェックして、きちんと説明をして、その上でなければならない。事務局は、どういう事で判断されたのか、説明してほしい。

事業者:基本的には、奥の保育園の問題が大きい。今もこの南側道路では、どうしても朝晩かなりの数の送迎車で渋滞して、交通上の問題になっている。

委員長:5m幅では渋滞は解決しないのではないか。この案件は敷地面積から、道路中心線から3mは下がらなければいけない筈である。歩道を付けたのは、好ましいが、1mでは、あまり意味が無く、却って危ないと思われるので、付けるのなら2mにすべきだとは思う。事務局はプランをチェックしているのか。セットバックで良いのか、歩道はどうしたら良いのかはその後に議論したいと思う。それ以前にそもそも、必ずしも住居系斜線に収められないプランではないと思う。容積率300%を、目一杯使えないとは思うが、その事を認識の上で、準工業地域であっても、斜線は住居系を適用するという基準を導入したわけである。ただ敷地の形状等で、住居系斜線を適用することが著しく困難であるというであれば、その緩和規定を適用しても良いと思う。事業者が単に歩道状空地をとるから、斜線を緩和してほしいと言っているだけとしか思われない。
話を変えるが、説明会の時には、何人の近隣住民が出席されたのか。

事業者:8名である。

委員長:その時に、日影の図と、住居系斜線を守った場合と、住居系斜線を守らなかった場合の両方を示した上で、住民側の意見を聴取したのか。

事業者:説明会の時には、住居系の斜線の日影の説明はしていない。しかし、現計画の日影図の説明はしている。

委員長:建物の形状についても、住居系斜線で計画した場合に、足回りのパースは見せたのだが、図面としては、先程の図面は見せたのかと思うが、模型のような物を見せたわけではないとのことである。

委員:単純な流れで言うと、住居系斜線の案と提案された案の、比較検討をきちんとパラレルで提示したのか。

委員長:日影については、両方比較はしていないということである。ちなみに、位置図のような物はあるか。等時間日影図のようなものは無いのか。

事業者:今日は持ち合わせていない。

委員長:住民には説明したのか。

事業者:それについては、説明していない。等時間ではなく、日影で説明している。日影計画である。

委員長:変更前は当初案で、変更後は、高さを9階にした案であるか。

事業者:そうである。

委員長:住居系斜線の中に収めた案で、日影図は作っていないのか。

事業者:作ってあるが、示していない。

委員長:実際に、どのように日影が落ちるか住居系斜線に収めれば、少なくとも北東側あるいは北西側に対する日影はいくらか緩和される筈である。それに対して、そこに該当する住民の方が、説明会に来たか来ていないかわからないが、そういう方々の反応はどうだったのかを伺いたかった。そのような資料がなければ、近隣住民の方は、どちらが良いかと言われても、良くわからないのではないか。示されているパースでは、上空を見せずに足元だけ見せて、どちらが良いかと言われても、それは誰でも事業者案が良いと言うに決まっている。だが、建物の上方は、写っていないし、大体道路の明るさや、開放感は、そもそも、パースではなかなかわからない。ポイントは、こういう形で緩和をしても、近隣住民の住環境には著しい被害を与えないことと、それに見合った形での、まちづくりへの貢献があること、それから1m幅の歩道では、少し中途半端であると思うので、やるなら2m幅なり最低1.8m幅をとってもらわないと、却って危険な歩道になってしまう。特に南側の現道は5mしか無いわけで、そちらはさらに1m出していただいて、道路は6mにしてもらい、歩道状空地を2mとるとか、それくらいは、当然指導すべきかと思う。西側の歩道状空地も1m幅というのでは、あまりにも中途半端ではないか、というのが私の意見である。
現状、少し容積を削ることになると思うのだが、住居系斜線に収められない理由がよくわからない。なるべく床面積を稼ぎたいという気持ちもわかるが、その事が、周囲の住環境に悪影響を与えていないか、この資料ではわからない。その辺をきちんと確認した上でないと、指導基準に明確に書いてある基準を緩和するという事については、少なくとも私は納得できない。後々改めて近隣と問題が生じた時に、恐らく、事務局あるいは場合によっては市長が問題を抱えることになると思う。

委員 :大規模開発等事業構想手続の中で構想検討会の開催請求は無かったのか。

委員長:そうである。開催請求が出なかったので、検討会はやっていない。しかし、資料にあるように、市は、きちんと斜線を守って下さい、という助言をしている。

委員:結果として、事業者は助言に応じていない。

委員長:事業者は市長の助言への答えとして、なお協議を続けますということになっていて、斜線制限関係について、周辺住民から調整会開催請求が出ない場合は、狛江市と事業者との協議ということになる。

委員:最終判断は、どのような形になるのか。

委員長:このまま協定が結ばれれば、現状案で、着工ということになる。指導基準には、基準があるが、市長が必要と認めた時には、この限りではない、となっている。その市長が必要と認めるという所を、いかに審議するのかということが、重要である。私としては、市長が必要と認める時には、調整会を開催できるという条項もあるので、市長の裁量で開催する調整会を私は開催すべきだと、事務局に申し上げた訳である。そこで色々な資料を熟慮し、検討できる。今のままでは後々居住環境上色々な問題が生じた時に、何で市長は必要と認めたのか、条例手続き上、どういう資料で判断したのか、問われる可能性もある。

事務局:一点だけ説明したい。当初の届出では、自主管理歩道もなく、10階建ての案が示されていた。これは現状案からすると、道も広がっておらず、高さもあるという案であり、大規模開発等事業構想の説明会がなされている。それを踏まえた上でも、近隣の方からは構想検討会開催請求書も出なかった。これらの点を踏まえながら、市としてはその後も、指導基準の規定を守るように要望してきた。その中で、事業者は近隣住民に対して、「市がどういう事を事業者に求めているか」、「事業者側はどういう事を提案するのか」を、きちんと説明しなさいと要望し、自主管理歩道を付けるという段階で、12月15日に説明会が行われている。当初歩道を設置するという案はなかったが、歩道を設置すると事業者側から対案が出されて、説明がなされた。その中でも、特に近隣住民から意見は出ていない。どちらかというと、確かに委員長のおっしゃられた、1mの歩道状空地で良いのかという点はあるにせよ、住居系斜線を導入するより、歩道状空地を設置するほうが、近隣住民としては納得できる案だ、という話も説明会報告書の中に入っている。

委員長:こういう方の意見が有った、という事はわかった。だが、特に反対意見が無かったとは読み取れない。ただそのような印象を受けただけなのかも知れない。いずれにしろ、その時に、住居系斜線を守った時と、そうでない場合の、高さ関係の十分な説明や、あるいは、日影の影響の説明や比較を、十分にされたとは思えない。足回りを比較して、どっちが良いかと言われたら、それは事業者案だと、近隣住民は言っているだけだというように解釈すべきだと思う。経緯は充分に聞いた。ただ説明会では、どういった資料で、どのような話をしたのか、市としては事業者と協議をしたと言うが、どういうチェックをしたのか、先程からあまり説明が無い。それともう一つは、この周辺の方は、分譲マンションもあるが、普通の賃貸のアパートも多いようである。例えば説明会は12月15日の何時頃開催したのか。

事務局:説明会報告書にあるとおり、午後7時から午後8時10分までである。

委員長:にも関わらず、8人しか来ず、そこで意見が出なかったから、あるいは最初の大規模構想の時も、意見は出なかったから、問題無いとはなかなか言えない。そもそも、日影になると、個別に、日影が困るとか、景観上困ると言う意見が出て、調整会に至るのが普通であるが、この物件については、そうでないわけである。今回は指導基準に合っていないという話である。それについては、近隣住民ではなくて、市が責任を持って、指導すべき物である。そこを、近隣住民から意見が出てないや説明会に出てきた市民が何も言わなかったからと言って、市がそれを鵜呑みにして、緩和して良いという話ではない。指導基準は、近隣住民の反応だけではなくて、もっと広い立場から、狛江市のまちづくり上必要だから、基準化して、設定している訳である。それを緩めるからには、それなりのチェックをして、支障が無いことを確認して、それなりにメリットがあることを、確認しなければならない。そもそも指導基準を作ったのは、何だったのということになってしまう。そこについての明確な答えをお願いする。

事務局:指導基準の改正によって、今回歩道状空地を設置し、更に10階層を9階層にするということを、実現できているという所はあると思う。

委員長:そのことと、歩道状空地には、あまり関係は無い。こういう指導基準が無くても、歩道状空地を設置してもらった例は他にたくさんある。斜線制限とは関係ない。現にいま、もう一つの大規模開発等事業構想手続を行った物件で、構想検討会をやった、あちらも、歩道状空地2m、緑道を含めると3m、作ってほしいということで、合意した。斜線制限は何も関係ない。もちろんメリットはあるだろう。だからそのことで、斜線制限を緩和するだけの理由がきちんとあるのか、そこが問題である。近隣住民が反対しなければ良いとか、何か見返りがあるから良いとか、そういう問題ではない。そこは、客観的に、市民に説明が付くような、チェックをして、理由を述べて、その上で緩和しないと困る。とにかく判断材料が少なすぎる。

事務局:大変申し訳ない。

委員長:これは、市長から調整会開催請求を出して欲しい。私としては、そう考えている。

事務局:用意した資料に不足が多く、迷惑を掛けて大変申し訳ない。改めて、説明会の中で使用した資料、それと、私共事務局と協議を行う上で使用した資料を、きちんと内部で議論をした上で、改めて説明したい。

委員長:それなら、調整会を開いた方が良いのではないか。変則的なやりかたであるが。ある種、市長への提言という話にはなるが。委員の皆さんはどうお考えか。

委員:手続き上、指導基準を緩和する際には、市長が特に認める時には緩和できるとの規定になっている。市役所内部の手続きとしては、まちづくり推進課が検討して、市長の決裁を取って、決定するという手続きがとられている。委員会の議論としては、報告を一旦受け、それに対して、委員会として、議論をして、その上で調整会が必要であるという提言を市長にするかどうかの判断が必要である。今日は、やはり資料が不十分なので、私としては、事務局の方で一度資料を精査した上で、委員会として報告を受け、そこで再度判断した方がこのケースでは宜しいのではないかと思う。

委員長:継続審議ということである。一つ申し上げたいのは、委員会の役目には、条例の適切な運用を監視するという訳ではないが、司るということがある。そうすると、この指導基準を市長が必要と認める時という時の運用についても、きちんと判断し、もしその手続きに瑕疵があるのであれば、我々としては提言しなければならない。それが委員会の責務でもある。だから、協議の決定は、事務局の専権事項ではない、ということは理解してほしい。事務局が何でも判断すれば良いと言う問題ではない。

委員:条例の中に、委員会の所掌している事務の問題があり、先程確認したところ、委員長の言われるとおりで、監視は当然でき、提言もできる訳である。私は問題があると思っているのが、指導基準を緩和する時の、手続きがはっきりと決まっていない点ではないか。
委員長:そこはむしろ、元々この条例自体は、条例策定委員会が提案して、決まった物である。運用についても、かなりの部分を、この委員会で行っている。そもそもこの委員会が、審議会ではなくて、委員会という名前になっていること自体が、事務局任せではなくて、事務局がやっていることを審議するのではなくて、委員会が主導的に条例を運用するということになっている。だから調整会も一生懸命にやっている訳である。よって、指導基準の緩和について、どうするかについても、お任せではなくて、この場で出して、議論していただきたい。

委員:私はそういうことを言っているのではなくて、整理したうえで当然議論をすべきだと思う。

委員長:かつ、その件についても、調整会で揉めたことがある。本来は、道路中心線から3m下がるべきところ、幼稚園だから良いという事を先走って行ってしまった例や、本来公園緑地とすべきところを保育園にすると言ってしまった後に反対が出て、保育園をやめたとか、市内の他物件の事例であるが、市長の判断だという事だが、実態としては事務局が先走って、指導基準を緩和するともめるわけである。今までもめた例はたくさんある。だから気にしている。

委員:そうすると、今まで指導基準を緩和したケースがあるのか。全くない訳ではないのか。

委員長:たくさんある。それも一応、緩和する事ができるという規定がきちんとあった上での話である。

委員:それはわかるが、手続き規定は無いわけである。

委員長:そのとおりである。

委員:そうすると、調整会の中でそういう議論になったから、緩和するということでは運用してきているということか。

委員長:逆に言うと、事務局が、先走って緩和してしまったと、言いたいわけである。

事務局:一度手戻りして、指導基準の緩和について、委員会に報告させていただき、そこで判断していただきたい。その先どうするかについては、手続き的には決まっていないことであるので、委員長に言われたように、改めて報告させていただきながら、進めて行きたい。今回は申し訳ない。

委員長:市長主催の調整会というのも、前例が無いことであるから、再度、継続審議と言うことで宜しいか。この先は、事務的な話なので、傍聴者は退席された方が宜しいのではないか。
ところで、まだ委員会の途中なので、傍聴者に発言を求めても問題ないのだが、今日の傍聴者は、近隣住民の方であるか。この計画について、どのようにお考えか。

近隣住民:最初の案は、現行の基準の中の話として聞いていた。だからこの用途地域の基準でできるという意識しかなかったので、先程の上下2つの案を示されて、どちらかと言えば事業者案の方が良いと回答した。

委員長:本来であれば、もっと低い建物になるとは知らなかったと、それで敢えて、調整会請求を出さなかったと、そういうことである。決してこの案がベストだとは思っている訳ではないということで宜しいか。

(一時中断)

事務局:長時間お時間を割いていただき、申し訳ない。議事次第の一番に移りたい。現在委員会としては、副委員長席が、一つ空席となっている。日置副委員長が退任されて、代わりの方の選任が行われていない。本日は、その決定及び信任をさせていただきたく、事務局から提案したい。

委員長:新任の副委員長とは、市民委員ではなく、学識経験者の枠であるか。

事務局:そうである。

委員長:規定では、どのように決めることになっていたか。委員長が指名するのか、それとも互選であるか。それとも規定はなかったか。

事務局:明確な規定は無い。

副委員長:私の時にもそうであったが、推薦されて決定した。前回委員長が欠席されたが、私の記憶では初めてのことであり、委員長が欠席して、副委員長として会を取り仕切ったが、市民委員で、司会は結構きつかった。やはり、学識経験者の中で、今後委員長が欠席されることも想定されるので、規定があるかどうかわからないが、慣例としては、委員長は学識経験者で、副委員長は学識経験者と市民委員各1名というような認識でいる。私は今回自分が司会をさせられたから、提案する訳ではないが、大方委員長と同じように、狛江のまちづくり委員を長年経験されていて、なおかつ狛江市庁舎まで建設時に尽力された埼玉大学の特任准教授である西田先生にしていただくのが適任であると思うので、推薦したい。

委員長:西田先生、いかがであるか。受けていただけないか。経験年数も一番長くなっている。退任した日置委員は法律系だったが、今回建築系になるが、今までの経緯をご承知ということで、私がいない場合には、建築にある程度造詣が深い方のほうが、間違いないと思うので、では西田先生にお願いしたい。それではこれにて閉会とする。