第3回狛江市生物多様性地域戦略策定検討部会(平成31年1月22日会議録要旨)
1 日時 |
平成31年1月22日(火曜日)午後4時~6時5分 |
2 場所 | 狛江市役所 特別会議室 |
3 出席者 |
部会長 葉山 嘉一 |
4 欠席者 | 部会員 馬場 健司 幸野 智恵 |
5 議題 |
1 開会 |
6 資料 |
資料1 狛江市生物多様性地域戦略モデル・プロジェクトの実施について |
7 会議の結果 | |
1.開会 2.報告事項 (1)第3回モデル・プロジェクトの実施結果について 資料1について説明 比較的近い間隔で巣箱を設置したようだが、巣箱を利用したシジュウカラは同一のつがいか。 ○事務局 産卵を確認してから邪魔をしないようにしていたため、同一のつがいなのか、繁殖が実際に行われて成功しているか、など細かな確認はしていない。 小鳥類は多くの種が縄張り制であり、この密度の場合は一組のつがいが利用したのではないかと考えられる。 (2)こまえ生きもの探検隊実施結果について ○事務局 資料2について説明 珍しい種の報告はあったか。 特別に珍しい種はなかったが、一名でたくさんの種の報告を送ってくださる方が複数いた。一般の方が知らない種を含む生きものに詳しいと思われる方からの情報も寄せられた。全体として昆虫類の報告が多かった。 和泉多摩川商店街付近でホンドタヌキの報告があるが、ハクビシンの誤認の可能性もあるのではないか。 昨年、同商店街付近で実際にホンドタヌキを見た。また、和泉多摩川駅前でも見たことがあるのでホンドタヌキだと思われる。 こまえ生きもの探検隊は、来年度も行うのか。 戦略の策定にあたり試験的に実施したため来年度は予定していないが、戦略の施策として本事業が盛り込まれれば、計画期間の中で実施をすることになると考えている。 子どもの視点から見るとわかりにくい部分がある。例えば、セイヨウタンポポとカントウタンポポの外総苞の反り返りの違いや、メダカとカダヤシのヒレの違いが、写真や注目という言葉だけではわかりづらい。もう少し画像を鮮明にし、具体的な説明を入れた方がよい。そうすれば、子どもたちだけでも生きものを探すことができる。 もし次があれば、ぜひバージョンアップを検討していただきたい。今回は6~9月で実施したが、季節を変えれば見つかる生きものも変化するので、そういった面でも工夫をしてもらえればと思う。 3.審議事項 (1)生物多様性地域戦略と狛江市の「自然」について ○事務局 資料3の1ページから5ページについて説明 特に、資料3の5ページ「狛江市の自然の主な構成要素」についてご意見をいただきたい。狛江市は人の手が加わっている自然が多いため、何らかの人の管理のもとで成立する「都市生態系」が多い市だと言えると思う。人の手があまり加わっていない自然に対する考え方を、何らかの人の管理のもとで成立している自然に適用することが必ずしも適切ではない、ということがあるため、狛江市の自然を4つの構成要素に分類したがいかがか。 造園業をしており、普段自らが手をかけているものであるため、公園や街路樹、緑道を自然と呼ぶことに抵抗がある。だが、生態系において多様性を担保できるという点で、この場では自然というくくりでよいかと解釈している。 まさに都市生態系であり、その質を高めるということになるかと思う。 資料3の5ページに「狛江市の「自然」は、多摩川とその河川敷の一部を除いては~」とあるが、多摩川も管理されているのだから、この記述は削除した方がよいのではないか。 それでよろしいと思う。 また、人の管理の程度が自然の質に影響を与えている。人が作り上げたものでも、放置していれば元に戻ってしまう。区分した4つの構成要素に、人の関わりの程度が横軸に入ってくるのではないかと考える。 自然を生物多様性、生態系や立地、空間を含めたものとして一言で表すならば、この4つの構成要素は腑に落ちる。狛江市には、古墳の林をのぞけば原生自然は無いので、このような自然の捉え方でよいかと思う。国の戦略ではこのような意味での自然という言葉は出てきているのか。 国の戦略は全国を対象としているので、原生自然から都市自然まで幅広い自然を対象としている。地域ごとの戦略になると、その地域ごとの自然の捉え方が出てくる。 自然と生物多様性をイコールで考えてよいのか。 そういうことになると思う。 (2)狛江市がめざす生物多様性の目標について 資料3の6ページ以降、別添資料について説明 本日は「めざす環境像・望ましい環境像(総合的な目標)」に関連した議論をすることになるが、まず、戦略の対象地域を狛江市全域とし、計画期間を2020年度~2029年度(10年間)とすることについていかがか。期間に関しては途中で再評価など、一区切りがあってもよいとは思うが、ここまではよろしいか。 〈異議なし〉 ○部会長 それでは、戦略の対象地域と計画期間についてはこのとおりとする。
・現状の自然環境の量・質、将来をどう考える? 狛江弁財天池特別緑地保全地区は、狛江駅前にあることも相まってインパクトが大きいようだ。狛江市にまとまった自然がある印象を持たせる場所だと思う。 多摩川は自然が多くて豊かだがゴミが多い。ゴミをなくすと素晴らしい自然になると思うが、大水が出ると元に戻る。清掃活動を地道に行う必要がある。今は多摩川統一清掃がある他、水辺の楽校でも行っている。地域で清掃しているグループもあるようだ。 清掃活動を行う際に、市の清掃課に事前に言えばゴミ袋を提供してもらえるということはある。多摩川統一清掃は毎年2千人程度参加しており、市内に浸透していると思われる。 多摩川の清掃は市役所やボランティアだけで対応するのは難しいかもしれない。 多摩川の水道橋から五本松にかけてはビオトープ的な場所がなくなっている。ヘビ、カエルの存続が危うくなっている。多摩川は開けた河川空間、狛江市の特徴として重要だと考えている。狛江高校の校庭、都水道局の資材置き場が野鳥、ヘビ、カエルの生息環境として重要であり守っていきたい。夕焼けがきれい、星が見える、静かな水辺に虫や鳥の声がする空間として守りたい。 畑や樹林地の相続が将来を考えると外せない課題だと思う。 重要な生物群としてカエルとヘビを守り増やすというのが狛江市の近々の課題だと思う。以前は見かけたトウキョウダルマガエルがいなくなったように感じる。西河原公園のニホンアカガエル、アマガエル、ヒキガエルも減ったように感じる。 「水」を活かせないか。豊かな水資源があると緑、生態系も変わってくると思う。
・緑道や公園緑地の生物多様性と「安全性」「快適性」「利便性」とのバランスをどう考える?両立するには? 公共的に管理している樹木は木陰の確保にも役立っていると思う。剪定する際は、そうした背景や樹木自体にも配慮して行ってほしい。 緑道などはもう少し手を入れてもよいかもしれない。ゾーニングでいうと、住宅と自然の間の緩衝的な場所になっているかもしれない。ツツジもあまり大きくなると危ないので、刈込などでもう少し小さく抑えることもできる。同時にそういった場所が樹林地などにつながっているということが狛江市のよいところだと思う。逆に樹林地などはもう少し規模がほしい。ゾーニングがもう少しあるべきか。 「どこを保全すべきか」を詰めていく必要があるか。 「どこを例外としてなるべく手をいれないか」を考えればよいと思う。
・生物多様性と農業をどう考える? 農業の立場からいうと生物多様性には逆行するところがある。タンポポや葉ものを食べてしまう生き物は駆除しなくてはいけない面がある。畑の中の緑は食として提供するもの。緑の景観として残すということであれば、相続問題などはぜひ考えていただきたい。 雑草を増やすということではなく、除草していただいてよいと思う。無農薬・減農薬で頑張ってもらえると、生きものにとって重要な場所になる。 狛江ブランド農産物を生産している「狛江GAP研究会」では、有機、減農薬なども進めている。狛江ブランド農産物取扱店を応援しようということも進めている。 地域全体が植物園という捉え方で取組みを進めている地域もある。 農家は防鳥ネットを張るなど、檻の中で仕事をしているような状況である。 野菜くずで肥料・土を作って使う農家があると聞いたことがある。個人宅でもゴミが減ってよいと思う。 狛江市でも、学校給食の残さなどを活用してミックス堆肥を作って使うといった取組みを行っている。 ・人と摩擦が起きやすい生きもの(例:カラス、ハチ、ヘビ、ハクビシン等)とどうつきあっていく? 実害があるものと手を出すと危ない・怖いものがある。蛇をいじめない、脅さない、ハチも必要以上に恐れないなど、人が手を出さなければ大丈夫な種もある。生態系の中で重要な生きものでもあるので、市民に知ってもらうことも重要だと思う。
・市民パワーをどう生かす?継続していく? 去年の台風後、市役所と一緒に「多摩川を元のようにキレイにし隊」を立ち上げて取り組んだ。これは狛江市ならではの他にない市民パワーだと思う。 生物多様性につながるような環境保全活動を一層PRするとよいのではないか。 利用者で多摩川を保全し、自然の大切さなどを学んでもらおうと活動してきた。小さいころに多摩川で活動していた子が成長して、当時の体験が現在につながっているような子もいる。 野川とハケの森の会でも世田谷区内にある大学などの学生に来てもらって活動している。そういったところから活動が広がっていくので、PRも含めて子どもたちに方向付けをしてあげられるとよいか。 かつての川を活かした細長い公園があることは狛江市の大きな特徴。他地域の人を案内すると面白いという話が出る。身近な場所にそういった場所があることで、学校の行き帰りに寄ることもできる。緑も水も大事にするということで大いにPRするとよいと思う。 近隣の大学生と一緒に活動することは相互によいことなので、取組みメニューに盛り込めるとよいと思う。 学生に狛江市のイベントや会議に参加してもらえるようにできるとよいと思う。
・子どもたちの成長・学習に身近な自然をどう活かす? 小学校で自然環境を学ぶ教科は、「理科」と「総合的な学習の時間」が2つの柱になっている。「総合的な学習の時間」は学校ごとに内容を決めるので、例えば多摩川に近い小学校では水辺の楽校にご協力いただいて進めている。 「理科」や「総合的な学習の時間」で狛江市の自然を学ぶ方針があると地域としては有難い。 別添資料に「教本の提供」と例書きがあるが、そういうものがあると授業で取り入れやすいかもしれない。 10年、20年先を考えると子どもたちに現場を見て貰うのが一番よいと思う。子どもの教育、経験を大事にしていくと将来があると思う。
・生物多様性の大切さを知ってもらう「情報発信」をどうする? 知っていないと想いも生まれにくいと思うので、情報発信をした方がよい。例えば、市報などでの定期的な周知や、人通りが多い狛江駅北口でイベントをやるのもよい。昔から住んでいる人もそうだが、新しく引っ越してきた人は特に地域について知らないので周知した方がよい。 自然も含めて狛江市はこういうまちなのだ、ということを子どもたちに伝えてあげるべき。 その他、別添資料について意見はあるか。 〈意見なし〉 ○部会長 それでは、別添資料の質問項目については以上とする。「めざす環境像・望ましい環境像(総合的な目標)」については、今出た意見などからキーワードを拾って事務局で精査してほしい。次回までに原案ができているとよい。 入れた方がよいキーワードについて意見があれば、今あげていただきたい。 「子ども」や「子どもたち」を入れたい。 「水」「身近な自然」「生きものとふれあう」「静かな住宅街」や、「多摩川」なども入れられるとよい。 時間が押してきているので、資料3の10ページ以降の「戦略の短期目標の設定」については、次回の審議とする。 4.その他 次回は3月6日(水曜日)午前10時から開催する。場所は改めて文書でご案内させていただく。 (2)その他 その他、部会員から何かあるか。 〈意見なし〉 ○部会長 それでは、本日はこれで閉会とする。 |