2月23日(木曜日)開催の平成29年狛江市議会第1回定例会において、高橋市長は平成29年度における狛江市の市政運営方針について所信を表明しました。
 以下はその全文です。 

 平成29年狛江市議会第1回定例会にあたり、平成29年度狛江市一般会計予算案の概要等の説明を中心に、新年度における狛江市の市政運営方針を申し上げます。

市政運営の基本的考え方

 日本の人口は減少傾向にあり、国は、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来に亘って日本社会の活力を維持することを目指して、地方創生の取組を推進しています。
 狛江市においては、昨年1月に人口が8万人を超え、その後も増加し、今年1月には80,807人になりました。中でも就学前児童数(0~5歳)は、5年前と比較して22.9%の大幅な増となっています。安心して子どもを産み、育てることができる環境をつくるために、喫緊の課題である保育園の待機児解消の早期実現を目指すとともに、子育て支援施策の充実を図り、子どもたちの笑顔が溢れるまちづくりを目指します。同時に、高齢化も進展しており、福祉・保健・医療等の連携により、地域全体で高齢者を支え、住み慣れた地域で安心して生きがいを持って暮らし続けられるような地域包括ケアシステムの構築を進めます。狛江市のコンパクトさを強みとして、人と人との顔が見える関係を構築し、家族で支えきれなくなった場合にも地域での支え合いが可能となるよう、障がいのある人もない人も、老若男女、誰もが安心して暮らし続けられる狛江の実現に向けて市政運営を進めてまいります。

地方財政をめぐる動きと狛江市の行財政運営

 平成29年度の国の予算は、「経済・財政再生計画」2年目の予算として、経済再生と財政健全化の両立を実現する予算としていますが、予算案を見る限り、財政健全化には程遠く、より重点を置くべき将来世代への目配り、即ち、少子化対策などが不十分であり、地方自治体を預かる私としては、いささか不安を覚えます。
 地方財政については、一億総活躍社会の実現や地方創生の推進、防災・減災対策等に取り組みつつ、安定的に財政運営を行うことができるよう、地方一般財源総額は、前年度比約4,000億円、0.7%の増とし、前年度を上回る額が確保されています。しかしながら、地方交付税は、前年度比2.2%の減となる一方、その財源となる国税収入の伸びの鈍化や前年度繰越金がなくなったことによる財源不足を補填するため、臨時財政対策債は、前年度比6.8%の増となっています。昨年8月の概算要求時点に比べると地方交付税の減と臨時財政対策債の増を国としては可能な限り抑制しているものの、将来世代への負担を減らすよう臨時財政対策債の発行の抑制に取り組んでいる狛江市にとっては、平成29年度の地方財政計画は、大変厳しいものになっています。
 東京都では、小池都政になって初めての予算ですが、「『新しい東京』の実現に向けた改革を強力に推し進め、明るい未来への確かな道筋を紡ぐ予算」と位置付けています。都税は、企業収益の落ち込みにより6年ぶりの減となっていますが、子どもを安心して産み育てられる環境の整備など待機児解消に向けた予算が拡充しています。子育て世帯が増えている狛江市にとり、有効に都補助金を活用し、市の施策を効果的に進め、市民サービスの向上につなげていく必要があると考えています。
 狛江市は、平成24年度以降、臨時財政対策債の発行抑制などにより市債残高を削減するとともに、財政構造の弾力性を示す経常収支比率も改善させています。しかしながら、公債費負担比率は依然として高い水準であり、今後の社会保障費の増加に対応するためには、市債残高を更に削減するとともに、基金残高についても、積み増ししていかなければなりません。普通交付税の交付団体である狛江市は、国が策定する地方財政計画の影響を受けますが、出来る限り自立した行財政運営を行えるよう財政基盤の確立に取り組んでまいります。

平成29年度一般会計予算案の概要

 平成29年度予算案は266億9,000万円、前年度比1億200万円、0.4%増となり、特別会計を含めた予算総額は、462億5,200万円、前年度比3億4,800万円、0.8%の増となりました。
 一般会計の歳入は、市税が納税義務者の増加などにより伸びており、前年度比2億8,800万円、2.4%の増ですが、交付金関係は減少することが見込まれ、普通交付税を除く一般財源収入は、微増になると見込んでいます。地方財政計画では地方交付税総額が減となり、臨時財政対策債の振替えが大きく増える見込みであることから、地方交付税は、前年度比8,000万円、5.5%の減となる一方、臨時財政対策債は、前年度比2億7,000万円、33.8%の大幅な増となっています。規律を持った財政運営をするために市債については、公債費の元金償還額以内に抑制していますが、事業債を減としたものの、臨時財政対策債の増により、前年度比1億7,500万円、11.4%の増となりました。
 歳出では、保育園の待機児解消に向けて保育施設の新設による定員拡大などにより扶助費が前年度比7億9,100万円、11.7%の増となりました。また、保育サービスの充実に向けて保育事業者等への支援を拡充するため、補助費等が増となっています。普通建設事業費は、あいとぴあセンター改修工事や都市計画公園整備に向けた用地取得等があるものの、前年度比6億7,500万円、25.3%の減となったことから、予算総額は微増ではあるものの、子育て支援の充実を図った予算としています。

平成29年度予算案の主な取組等について

 次に、平成29年度予算案の主な取組等について、説明申し上げます。

子育てしやすいまちづくり

 「子育てしやすいまちづくり」では、保育園の待機児解消に向けて4月に保育施設を5施設開園し、保育定員を255名拡大するとともに、翌年度に向けても新たに保育施設の整備を行うことにより、待機児の早期解消を目指します。また、一時預かり事業を拡充することで、保護者の負担軽減や利便性の向上を図るとともに、認証保育所等へ預けている家庭の経済的負担の軽減を図るために、補助金額を引き上げます。増加する保育需要を支える保育事業者への支援の拡充や自主保育活動をしている団体への補助制度を創設することにより保育サービスの充実を図ります。
 乳幼児期から学齢期まで、福祉と教育の連携による切れ目のない支援を行うため、子ども家庭支援センターと児童発達支援センター、教育研究所の機能を有した複合施設の整備に向けた基本設計を行います。また、子育て支援の拠点施設のない北部地域に学童クラブや中高生の居場所機能を有した児童館の整備に向けた設計を行い、子育て環境の地域格差の解消を図ります。人口の増加に伴い一部の地域では児童数が増加しており、第五小学校区域の児童数の増加への対応として、教室の確保及び放課後対策を拡充するため、隣接地に放課後クラブ等の施設整備に向けた設計を行います。第一小学校区域でも今後、児童数が増加する見込みであるため、校舎の増築に向けた基本設計を行います。
 学校教育では、新教育課程の理念を受け、より質の高い学びの実現を図るとともに、中学校の特別支援教室においては、ICT機器の活用やモデル事業として巡回指導の実施により学習支援の充実を図ります。不登校対策については、フリースクール等との連携や住民交流友好都市である山梨県小菅村への宿泊学習を行うことなどにより自立に向けた支援を行います。また、小菅村では、自然の中での生活を体験する山村留学事業も実施します。

誰もが安心して暮らせるまちづくり

 高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう地域全体で高齢者を支えるための地域包括ケアシステムの構築に向けた取組の一つとして、介護予防・日常生活支援総合事業が始まります。多様な主体による多様なサービスを展開するとともに、高齢者の社会参加や地域における支え合いの体制づくりなどにより、活き活きとした生活を継続することを目指します。また、認知症への対応として、認知症初期集中支援チームの活動を開始し、認知症の疑いがある人や適切なサービスにつながっていない認知症の人に対し、医師と医療・介護専門職からなるチームが訪問し、適切なサービスにつなげていきます。
 市内に3か所ある福祉作業所の作業環境の改善や機能拡充を図るため、狛江駅前の保育園仮園舎を福祉作業所として改修し、機能を集約することにより障がい福祉サービスの充実を図ります。また、在宅で重症心身障がい児(者)を介護している家族等の負担軽減を図ることを目的として、看護師が自宅を訪問して一定時間ケアを代替するレスパイト事業を実施します。更に、知的障がい者の生活介護の充実を図るため、知的障がい者支援施設整備への補助を実施します。
 市民の健康を守るために、疾病の早期発見の観点からがん検診の受診率向上を目指して、集団がん検診の実施回数を増やすとともに、子育て中の女性が受診しやすいように保育士の配置回数も増やします。また、大腸がん検診と胃がんリスク検査を特定健診と同時に受診できるようにすることで受診機会を増やすとともに、あいとぴあセンター以外で実施している出張集団がん検診の検診項目に肺がん検診を追加します。また、国民健康保険データヘルス計画に基づき、健診異常値放置者への受診勧奨や糖尿病性腎症重症化予防事業の実施など効果的な保健事業を展開するとともに、市民の健康づくりを応援するため、健康ポイント制度の創設に向けた取組を試行実施します。
 生活困窮者の自立を促進するため、生活支援や就労支援とともに、貧困が世代を超えて連鎖しないよう、子どもの教育の機会を確保するために小・中学生を対象とした学習支援を継続して行います。高齢者、障がい者、低所得者など住宅の確保に特に配慮が必要な人に対しては、賃貸住宅への円滑な入居の支援に向けた居住支援協議会の準備会を設置するとともに、住まいの相談窓口を試行設置します。また、フードバンクの活動団体に対する支援を行ってまいります。

安心で安全なまちづくり

 日本一安心で安全なまちづくりを推進するため、高齢者への自動通話録音機の貸与を推進するなど関係機関と連携を図りながら、特殊詐欺被害防止対策の強化を図ります。災害対策としては、多摩川の浸水想定区域の見直しに対応するため、新しい洪水ハザードマップの作成に合わせて防災ガイドを改定し、災害時に起こる危険への正しい理解を促し、より安全な避難行動が行えるよう啓発します。また、災害時に迅速な罹災証明の発行等を行うための被災者生活再建支援システムを導入し、都内の自治体と共同利用することにより、被災者の生活再建を支援するための体制を構築します。2か年で実施する、あいとぴあセンター・西河原公民館改修工事では、災害時の福祉避難所としての機能を向上させるほか、災害時の医療救護体制を円滑に機能させるためのコーディネートを行う災害医療コーディネーターの創設に着手します。災害に強いまちづくりに向けて、これまでの木造住宅の耐震化への取組に加え、分譲マンションの耐震化促進に向けたアドバイザー派遣などにより住宅の耐震化を促進します。また、適切な管理が行われていない空家等は、防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼすおそれがあるため、空家等対策計画を策定するとともに条例化の検討を行い、安心して住み続けられる良好な住環境の実現を目指します。
 安全かつ円滑な交通環境を確保するため、生活幹線道路の改修を計画的に進めるとともに、路面下の空洞調査を実施することで路面陥没による重大事故の未然防止に努めます。変則的な交差点や見通しの悪さなどの課題を抱えていた八幡通りの安全対策に向けて、今後の整備に向けた用地取得や設計を行います。車道通行が原則となる自転車が、安全に移動するための面的整備等を定めた自転車ネットワーク計画を策定します。交通安全対策として歩道等の拡幅が望まれている水道道路(調布都市計画道路3・4・2号線)は、東京都における事業化の手続きに積極的に協力します。また、水道道路とのネットワークが求められている調布都市計画道路3・4・16号線については、現在進めている電中研前の事業を着実に行い、広く市民の理解のもとに継続して整備を進めるため、フォーラム等を開催します。市内の街路灯の他、公園灯についても全てリース方式によりLED化することで、二酸化炭素排出量や維持管理に要する経費の削減を図ります。高齢者による交通事故防止のため、運転免許証自主返納支援制度を創設するほか、交通事故ゼロ推進に向けて、市の事故特性を踏まえた啓発冊子を市民協働により作成します。
 社会保障・税番号制度による個人番号カードの交付が昨年より始まり、2月から個人番号カードを利用した住民票等の証明書をコンビニエンスストアで取得できるようになりました。6月には課税証明書も新たに取得できるようにすることで、市民の利便性を高めます。また、7月から地方自治体での情報連携が始まり、社会保障や税に係る行政事務の効率化を図ることができるようになります。その一方で、市民の情報を守るために、セキュリティ対策の更なる強靭化を図ることにより情報流出の防止を徹底します。

魅力あるまちづくり

 「魅力あるまちづくり」では、日本最大級のクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭」のプレイベントとして昨年4月に開催した「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン プレフェス・ア・コマエ」では、これまでの狛江にはなかった新たな魅力を発信することができました。次回開催の平成30年度に向けて準備を進めるとともに、平成29年度は新たな音楽祭を開催します。音楽祭の会場としても使う狛江駅前三角地は、小田急線連続立体化による狛江駅前北口地区再開発事業の未利用地として残り、これまで暫定利用していたスペースですが、「にぎわいを創出する広場」と位置付け、多様な用途で利用できる恒久的な広場として整備します。貴重な環境資源である多摩川河川敷の利活用に向けては、交流拠点の創出として駐車場とドッグランの試験運用を始めるとともに、国の治水対策として予定している土手の天端舗装整備に併せて、環境に配慮した保水性舗装を行い、歩行者の安全を確保します。また、自然との共生による地域社会の持続的な発展を目指すために生物多様性地域戦略の策定に着手します。狭い市域に多くの古墳がある狛江の特色を活かし、計画的な公園・緑地の確保に向けて都市計画変更を行った白井塚・亀塚・猪方小川塚の歴史公園の整備に向けて、用地取得や設計を行います。この他、シティセールスプランに基づき、初春まつり、桜まつり、市民まつり、いかだレースや多摩川流域の自治体との広域連携で行うイベントラリー事業など、狛江らしいイベントを継続して実施するとともに、平成30年度の花火大会の開催に向けた準備を行います。更には、篤志家のご好意により近世以降に描かれた浮世絵の特別展示会も開催します。
 東京2020オリンピック・パラリンピックに向け、講演会等のイベントを通じて国際交流体験の情報共有や市民の異文化理解を進めるとともに、スポーツ振興を図るためオリンピアンによる卓球教室の開催や障がい者スポーツ体験・普及に取り組むなど気軽にスポーツに親しむ機会を提供します。また、東京都水道局との協議により使用許可を受けた用地を運動広場として整備します。市民センター改修工事については、市民センターを考える市民の会からの提案を受け、現在、実現可能性を検討するための調査を行っているところですが、今後、公民館や図書館を利用しない方も含め、広く市民の意見を聴きながら、財政的な見通しも踏まえ、市の考えをまとめてまいります。

今後、目指すべき方向

 平成29年度予算は、市長就任2期目の最初の予算となります。1期目の目標である「日本一安心で安全なまち」の実現については、これまで一定の成果を上げることができましたが、今後も継続して取り組んでまいります。また、2期目の目標である「障がいがある人もない人も、高齢者も若者も、誰もが地域で自立して生活できる、暮らしやすいまち」の実現に向けては、新年度予算において道筋をつけることができました。今後、更に前進するよう取り組んでまいりますが、限られた財源の中で増加する社会保障費に対応しながら、新たな施策を展開するためには、財政基盤の強化に取り組んでいく必要があります。そのためにも、将来を見据えた規律のある財政運営を引き続き行ってまいります。