2月22日(木曜日)開催の平成30年狛江市議会第1回定例会において、高橋市長は平成30年度における狛江市の市政運営方針について所信を表明しました。
 以下はその全文です。 

 平成30年狛江市議会第1回定例会にあたり、平成30年度狛江市一般会計予算案の概要等の説明を中心に、新年度における狛江市の市政運営方針を申し上げます。

市政運営の基本的考え方

 全国的には人口減少社会への対応が求められているところではありますが、狛江市においては、高齢化が進展している一方で人口が増加し、中でも子どもが増えています。そのため、高齢化への対応と同時に子育て支援への対応が喫緊の課題となっており、これまで進めてきた保育園の待機児童解消への取組に加え、学校施設への対応や放課後対策も必要になっています。安心して子どもを産み、育てることができる環境づくりに向けて、子育て支援の充実に向けた取組は、弛めることなく進めてまいります。同時に、団塊の世代が後期高齢者になる2025年を目途に、住み慣れた地域で安心して生きがいを持って暮らし続けられるよう、医療、介護、介護予防、住まい、日常生活の支援が包括的に提供される地域包括ケアシステムの構築を進めてまいります。
 平成30年度は、後期基本計画の最終年度である平成31年度に向け、それぞれの取組において追い込みの年度になります。これまでの成果と課題を検証し、目標達成に向けて取組を強化してまいります。また、限られた財源の中であっても「日本一安心で安全なまち」の実現と「障がいがある人もない人も、高齢者も若者も、誰もが地域で自立して生活できる、暮らしやすいまち」の実現に向けて市政運営を進めてまいります。

地方財政をめぐる動きと狛江市の行財政運営

 日本経済の先行きについては、緩やかに回復していくことが期待されるものの、内閣府が公表した中長期の経済財政に関する試算では、これまで2025年度としていた国・地方の基礎的財政収支の黒字化が2027年度まで延びるとの見通しが示されました。消費税率引き上げ時の増収分の使い道を変更したことに加え、経済成長率の前提を見直したことで、これまでの試算より2年遅れる見通しとなったものです。夏までには黒字化の達成時期を決定するとのことですが、政府における経済再生と財政健全化の取組を注視していく必要があります。
 平成30年度の地方財政は、地方が子ども・子育て支援や地方創生等の重要課題に取り組みつつ、安定的に財政運営を行うことができるよう、地方交付税等の一般財源総額について、平成29年度を上回る額が確保されています。地方税収が増える見込みであることから、地方交付税は減となっているものの、昨年8月に示された仮試算では大幅な増が見込まれていた臨時財政対策債も1.5%の減となりました。しかしながら、狛江市は地方消費税の清算基準の見直しの影響を受けるため、財源不足が増すこととなりますが、その半分近くが地方交付税では交付されず、臨時財政対策債に振り替えられます。また、子育て支援施策の充実に向けた公共施設整備も進める必要があるため、その財源として基金からの繰入金を増やすものの、事業債の発行も増やさざるを得ないことから、平成30年度は、平成24年度以降継続してきた将来負担の抑制が難しくなっています。市財政の根幹となる個人市民税は、若干の増を見込んでいますが、ふるさと納税による減収が大きくなっています。故郷に対して寄附という形での応援は、趣旨には賛同できるものの、過度な返礼品競争に対しては疑問を感じるところであり、制度の見直しも必要ではないかと考えています。税制改正の影響もあり、自主財源の確保が難しい一方で社会保障関係費が年々増え、厳しい財政状況にはありますが、国や東京都の補助金も有効に活用しながら、安定した行財政運営に努めてまいります。

平成30年度一般会計予算案の概要

 平成30年度一般会計予算案は、284億600万円、前年度比17億1,600万円、6.4%増となり、特別会計を含めた予算総額は、470億7,100万円、前年度比8億2,000万円、1.8%の増となりました。
 一般会計の歳入は、個人市民税では納税義務者数が増加しているもののふるさと納税による減収の影響が大きく、微増に留まっています。こうした状況を見越して、今後の都市計画事業に対する一般財源の負担を抑制するために都市計画税率を改定しましたが、固定資産税の評価替えによる土地価格の上昇や新築家屋が増えたことによる増もあり、市税全体では前年度比1億3,500万円、1.1%の増と見込んでいます。しかしながら、税制改正により地方消費税交付金は前年度比1億8,200万円、12.5%の大幅な減となりました。その影響もあり、交付税算定において財源不足が大きくなる見込みであることから、市では地方交付税を前年度比2億1,800万円、15.9%の増、臨時財政対策債を4,600万円、4.3%の増と見込み、一般財源収入全体では2億5,600万円、1.6%の増で見込んでいます。基金からの繰入金のうち財政調整基金は、国民健康保険税率の引上げを緩和するため、特別会計への繰出金の財源として増額し、特定目的基金は、公共施設整備の財源として増額したことなどから、前年度比4億7,700万円、122.9%の増。市債の発行予定額は、臨時財政対策債と事業債のそれぞれを増額し、前年度比2億2,600万円、13.2%の増となっています。
 歳出では、北部地域への児童館新築工事や第一小学校と第五小学校の児童数増加に対応するための改修工事、放課後クラブ新築工事などにより普通建設事業費が前年度比9億5,900万円、47.0%の増となりました。扶助費は、保育園の待機児童解消に向けた保育定員の拡大などにより前年度比3億6,300万円、4.7%の増。補助費等は、保育サービス充実に向けた補助金の増などにより1億7,200万円、5.8%の増となっています。

平成30年度予算案の主な取組等について

 次に、平成30年度予算案の主な取組等について、説明申し上げます。

子育てしやすいまちづくり

 「子育てしやすいまちづくり」では、保育園の待機児童解消に向けて保育定員を130名拡大するとともに、翌年度に向けても新たに2施設の整備を行うことにより解消を目指します。子育て支援の拠点施設のない北部地域に学童クラブや中高生の居場所機能も有した児童館を整備することにより子育て環境の地域格差の解消を図ります。また、出産や子育てに関する不安を軽減するとともに、妊娠期から子育て期に亘って、切れ目なく支援を行うために妊婦全員を対象に面接する「ゆりかご事業」を実施します。
 人口の増加に伴い、一部の地域では小学校の児童数が増加しており、第一小学校と第五小学校では学級数の増に対応するために教室を確保するための工事を行います。また、小学生の放課後対策として学童クラブの待機児童解消も課題になっていますが、第五小学校の隣接地への放課後クラブ新築工事と岩戸児童センター改修工事、第一小学校増築工事を行うことにより定員拡大を図り、放課後の居場所を確保していきます。
 学校教育では、情報教育環境の充実に向けてセンターサーバ化による教育ネットワークの構築やICT機器の拡充を図るなど情報教育環境を整備することにより児童生徒への指導の効果を高めるとともに教員の業務効率の向上を図ります。新学習指導要領への対応に向けて、外国語活動を小学校3年生から始めるとともに5・6年生では授業時間数の増、中学校では東京都が開設する英語体験施設での活動など英語教育の充実を図ります。第三小学校に自閉症・情緒障がい固定学級を開設するとともに、中学校では巡回指導による特別支援教室を本格実施します。また、不登校対策でのフリースクールとの連携やいじめ防止方針に基づいて、いじめ問題対策委員会を設置するなど児童生徒に対してきめ細かな対応を図ってまいります。
 ひきこもり等の状態にある若者に対しては、安心して支援を受けられるよう若者支援ガイドの作成や支援に向けた実態調査を行ってまいります。

誰もが安心して暮らせるまちづくり

 誰もが住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう地域包括ケアシステムの構築に向けて、地域福祉活動を支援するためのコミュニティソーシャルワーカーを配置し、関係機関と連携した地域への効果的な支援を行うとともに、高齢者の身近な相談場所として2か所目の「こまほっとシルバー相談室」を開設します。また、在宅医療と介護の関係者の連携に関する相談窓口の設置や医療・介護・地域資源マップシステムの運用を行うことにより、医療と介護の連携を進めてまいります。認知症高齢者への対応として、地域包括支援センターへの認知症コーディネーターの配置や認知症初期集中支援チームによる支援などにより認知症施策を推進します。自らごみを出すことが困難な高齢者に対しては、ごみ出し支援を行い、在宅生活の環境を整えていきます。市民の健康づくりや生活習慣病予防の動機付けとして、健康ポイント制度を本格実施するほか、歯周病検診やセルフ健康チェックサービスを実施するとともに、女性特有のがん検診について、受診しやすい環境を整備することにより、受診率の向上を目指します。
 国民健康保険制度は、これまで各市町村での運営により全国的に構造的な課題を抱えていましたが、都道府県単位での運営に制度が変わります。これに伴い保険税を引き上げさせていただくことになりますが、できるだけ負担を抑制するために一般会計からの繰出金を増額して対応します。
 乳幼児期から学齢期にかけて、子どもの育ちや発達に対する切れ目のない支援に向けて、子ども家庭支援センターと児童発達支援センター、教育支援センターの機能を有した子育て・教育支援複合施設の整備に着手します。また、生活困窮者の自立促進に向けて、生活支援や就労支援を行うとともに、子どもへの学習支援や進学支援の充実、就学援助における新入学学用品費の入学前支給の実施、子ども食堂の活動を支援するための補助制度の創設を行ってまいります。

安心で安全なまちづくり

  日本一安心で安全なまちづくりを推進するため、特殊詐欺被害防止対策として高齢者への自動通話録音機の貸与を行うとともに、関係機関と連携を図りながら安心安全情報メールによる注意喚起や地域と連携したパトロールの実施などに取り組みます。現在策定している狛江市空家等対策計画の取組を実効性のあるものとするために条例を制定し、空家等の適切な管理や利活用を進めることにより、良好な生活環境を確保します。また、住宅耐震化に向けては、戸別訪問や耐震アドバイザー派遣、相談会等を実施します。
 災害対策としては、大雨の際の河川の状況を迅速に確認するために、多摩川に続き、野川にも河川水位監視カメラを設置します。2か年で実施している、あいとぴあセンター・西河原公民館改修工事では、福祉避難所としての機能を向上させるほか、災害発生時への対応として、医療救護活動を統括し、調整する役割を持つ災害医療コーディネーターを設置するとともに、避難行動要支援者の安否確認や誘導等を的確に行うための個別計画を作成します。顔と顔の見える関係づくりの一つとして実施している地域連携職員制度に加え、職員の市内居住を促進するための助成制度を創設しましたが、職員の市内居住率を高めることにより地域と繋がる市役所を目指します。
 生活幹線道路は、安全かつ快適に通行できるよう計画的に改修を進めるとともに、変則的な交差点により安全対策に課題があった市道32号線(八幡通り)、小金橋南交差点の改良工事を行います。また、防災機能の強化や景観の向上を図るために無電柱化推進計画を策定します。水道道路とのネットワークが求められている調布都市計画道路3・4・16号線については、現在進めている電力中央研究所前の事業を着実に行うとともに、小田急線高架下から水道道路までの区間について、地域住民の理解のもと事業化に向けて取り組んでいきます。
 市内の街路灯と公園灯は、LEDへの切替が完了することにより消費電力を減らし、二酸化炭素排出量や維持管理費の削減を図ります。また、公共下水道においても、地震対策や長寿命化対策を計画的に進めてまいります。

魅力あるまちづくり

 魅力あるまちづくりに向けて、世界最大級のクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネTOKYO2018のプレイベントとして、2回目となる「ラ・フォル・ジュルネTOKYO2018 プレフェス・ア・コマエ」を開催します。音楽祭の会場としても使用する狛江駅前三角地は、「にぎわいを創出する広場」と位置付け、多様な用途で利用できる広場として整備し、さらに、市では初めて企業とネーミングライツ契約を締結し、「メビウス∞えきまえ広場」としてオープンします。また、貴重な観光資源である多摩川での花火大会は、3年ぶりの開催となりますが、支援者を募って資金の一部を調達するクラウドファンディングの手法を活用し、実施します。
 ラグビーワールドカップ2019まで1年半、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会まで2年半ほどになりました。それぞれの大会の成功に向けて気運の醸成を図るため、パラスポーツやラグビー等の競技体験ができるイベントなどを実施することにより世代や障がいの有無を超えて、スポーツの振興を図っていくとともに、スポーツ以外の分野においても市の魅力を内外に発信する契機とします。また、新たな運動施設として、東京都水道局との協議により使用許可を受けた用地を元和泉市民運動ひろばとしてオープンします。
 計画的な公園・緑地の確保に向けて都市計画決定された歴史公園の整備を進めていくとともに、横穴式石室が発見された猪方小川塚古墳は、公園の整備とあわせて保存工事を行います。また、緑豊かなまちづくりを進めていくための緑の基本計画と環境施策の基本的な方向性を示す環境基本計画の改定に着手するとともに、路上喫煙等の制限に関する条例については、喫煙マナー向上及び喫煙者と非喫煙者の共存が可能な地域環境の確保に向けて、条例改正を検討しているところです。
 市内商店の活性化に向けては、「こまえ元気わくわく事業」の実施や商店街振興プランの改定に取り組むとともに、農業では狛江ブランド野菜や認定農業者への支援など農業振興計画に基づく取組を進めることにより、商業と農業の振興を図ってまいります。
 現在の基本構想・基本計画は、平成31年度までの計画となっています。その後のまちづくりの指針となる第4次基本構想・基本計画の策定に向けて、広く意見を求めながら、狛江らしい計画となるよう検討してまいります。

今後、目指すべき方向

 現在、狛江市の人口は増加していますが、将来的には減少していくことが見込まれます。そのような中においても「日本一安心で安全なまち」の実現と「障がいがある人もない人も、高齢者も若者も、誰もが地域で自立して生活できる、暮らしやすいまち」の実現とともに、狛江らしい魅力あるまちづくりを進めることにより「いつまでも住み続けたい」と思われる、また、「住んでみたい」と思われるまちづくりを目指してまいります。
 今後も増加する社会保障関係費に対応しながらも、安定的な社会保障施策を進めていくとともに、社会情勢の変化や市民ニーズの多様化など地方自治体を取り巻く環境に柔軟に対応していくためには行財政基盤の確立が必要となります。そのためにも将来を見据えた規律のある行財政運営を行ってまいります。