選考会の様子

 平成28年6月12日に開催しました「平成28年度狛江市市民公益活動事業補助金交付事業選考会」より、各申請団体に対する審査委員からの評価をまとめました。
 ※選考会での選考委員評価を要点筆記したものです。

 

<各団体に対するコメント>

○スタート補助金

①狛江市将棋愛好会―狛江市民将棋大会(169点)

 将棋大会を開催したいという、趣旨が明確なので補助金の対象としては妥当であると思った。定期対局会を78回開催し、少年少女の会員も増加しているところも評価できる。公益性という観点から見て重要なことは、将棋が好きな人だけで集まって行う活動でしたら趣味のサークルになるが、少年少女に向けて将棋の文化を伝えているということ、有段者の会員からの指導があり少年少女が将棋の文化に触れられる機会をつくるという目的に、公益性があると感じた。また、地域に向けた貢献活動も行っており、会員は年配者も多いが、子どもたちとの交流を通して地域のコミュニケーションづくりにも貢献していること、今後の発展が期待されるというようなところをさらにアピールすると、選考委員としてもさらに後押しができると思う。事業報告の時に、また新しい発展がみられることを期待している。なるべく地域性を重視して、市内の参加者が増えると良い。また、補助金を受けて子どもたちの参加費を下げる工夫などをしていただけると良いと思う。

②フードバンク狛江―フードバンク狛江のリーフレット作成(176点)

 困窮者支援という大変意義のある活動をしており、公益性も非常に評価できる。スタート補助金で、継続的な活動ができるような財政上の整備も頑張ってほしい。
 リーフレットを500部作るということだが、500部というと広く配布できるようでそうでもない。最初から立派なリーフレットを作るよりもチラシのようなもので、まずは多くの人に広げていただくことに重点をおいたほうがいいのではないかと、申請書を見る限りでは感じ、リーフレットのあり方については、もう少し検討していただいてもいいかと思う。
 

③『孫育て昔遊びの会』―子どもと高齢者のための昔遊び事業(179点)

 高齢者世代に活躍の場をつくりながら、子どもの遊び場をつくろうという大変意義のある活動をしており、公益性も非常に評価できる。運用に関わる経常的な費用に補助金を充てることになっていて、来年度以降の活動についてはまだ見えない部分がある。ただ、まだ手始めだと思うので、しっかりとした基盤作りを進めながら、この一年活動をしていただきたい。スタート補助金で、継続的な活動ができるような財政上の整備も行っていただきたい。

 

○チャレンジ補助金

④狛江元気スクール―狛江市の新制度「通所型サービスB」に適合する団体の育成(192点)

 選考委員が最も評価した点は、来年度に狛江市が導入する通所型サービスBという住民が主体となって行う介護の新制度に対応することができる事業というところである。国の制度として、対応しきれない部分を地域住民の力を借りて行うということで、選考委員全員が、これは是非やっていただきたいと思い、このような高い評価となった。

⑤狛江市邦楽連盟―少年少女民謡チャレンジ講習会(149点)

 邦楽連盟ということで、市内の多様なジャンルを活かした邦楽の団体を取りまとめ、組織としても大変確立された団体であると感じた。
 昨年度8人の少年少女が参加して、発表会にも多くの人が集まり伝統芸能が広がったということなので、それがさらに増えれば、より効果が上がることが推測され、またその取組が成功していけば、市にとっても新たな公益につながっていくと感じた。また、次世代の人たちに関心をもってもらい、文化を継承していくことの大切さも感じた。チラシを小学校に配布する際には、参加への敷居を低く、間口を広くできるような魅力的なチラシを作成していただきたいと思う。

⑥狛江・まちづくり市民会議―六郷さくら通りを軸とした快適なまちづくりプロジェクト(第3年度)(141点)

 平成14年度から10年以上活動していることに大変感心した。色々な地域で、アンケートやワークショップを行い、まちづくりを考えていく取組は、市民参加と協働で狛江市をより良くしていこうとする先駆けにもなっていて大変評価をしている。提案したプランが大変な予算がかかることであるため、なかなか具体化するのが困難なことも多いと思うが、ワークショップや議論を重ねることによって、例えば「取組に参加する人が広がった」とか、「地域をお互いに話し合ってみようという機運づくりが生まれた」とか、目には見えない効果や変化もあったのではないかと感じた。活動自体は大変評価しているが、調査結果をもとに市に提案した事業が平成17年の八幡通りに関する事業のみであることが少し気になるため、その点を考慮して評価をした。

⑦ブルームーン―バンド演奏を通して市民の皆様に楽しんで頂く事業(159点)

 公益性があると認められることによって受ける補助金となるので、団体としてはしっかりとした基盤作りをしていただきたいと思う。
 近隣の市町村も入れて年間60回、延べ3,000人もの方に対して公演できているというのは素晴らしい。ただ、購入した備品を谷戸橋地区センターに置くのは心配があるので、管理方法については検討していただきたい。演奏の映像を見て、演奏する側も聞いている人も非常に楽しんでいるように感じられた。この補助金を受けて、団体の収支なども管理するなど組織として確立していただき、より公益性を意識した活動展開をしていただけると良いと思う。

⑧ヘルマンさんの会―ヘルマン・ウォルシュケさんの足跡調査研究と広報活動(148点)

 狛江市には「ヘルマンさん」という人がいたということで、今後狛江市民が海外と交流するきっかけにもつながると思う。3年間で色々な活動をされ、ゼンフテンベルク市長とも友好関係を作られており、非常に大きな成果を出していると感じた。
 こういった実績を広報していくことが課題であるということだったが、ぜひ取り急ぎやっていただく必要があると思っている。日本で初めて高級ハムやソーセージを作ったのが狛江であるという、貴重な事実を全国に発信することで狛江の評判を高めていく取組をしていこうというのが当初からの計画でもあったと思う。
 事業計画では、報告書作成ということに重点を置いていたが、せっかく狛江市をアピールできる素材をここまでまとめていただいたので、それを活かしていかに全国あるいは市民の皆さんに知ってもらえるような機会を作るかというようなところに活動の目標を据え直してやっていただきたい。また、これまでの活動で築き上げたものを活かして、例えば「ゼンフテンベルク市長が日本に来るかもしれない」とか「そういうことがあれば姉妹都市を結ぶということもあるのではないか」など、もう少し将来的な展望についても考えてもらいたい。

⑨ミュージカルCoCo~―市民ミュージカル「Voice」上演(176点)

 若い方々を中心に皆が一生懸命に活動しているというのが伝わってきて、本当に素晴らしい活動だと思うので、できれば毎年続けてほしいと思う。事業を継続していくには、余裕のある予算組みが必要だと思う。200万を超える事業であるので予算組みも大変だと思うが、何かの時のために継続的な運営をしていけるような予算的な余裕ができると望ましい。非常に壮大な事業で個々の相当な努力も必要であり、人を集めるというのもまた大変だと思うが、ぜひ続けていただきたいということで高評価となった。

 

<委員による総評>

 皆さまそれぞれが専門的な所で活動していて、その活動の一部分を地域に還元するところが、市民公益活動事業補助金の意義であると思う。プレゼンテーションなどでその部分が上手に表現できたかどうかで、評価に少し差が出てしまったと感じた。小さな取組みでもいいと思うので、何か市民に直接提供している部分や、それによる効果などを発表していただけると、審査する側の評価の基準にもなり団体のPRになると感じた。

 素晴らしい公益活動で、広く知ってもらわなければもったいない、これからさらに周知に力を入れていただきたいような素晴らしい活動をしている団体が、狛江にはたくさんあるということを改めて感じた。これからも狛江がさらに住みやすくなる、皆さんの支えでより良く変われるという事を実感した。今後活躍されることを心から願っている。

 今日初めて知った活動もあり、またその後の発展を確認できた活動もあった。この補助金は、市民協働で市民の皆さんと行政がパートナーシップの立場に立って、狛江市を皆さんの活発な活動でより暮らしやすく、豊かなまちにしていこうという公益活動をしている皆さんを後押しするとともに、団体同士、お互いの活動について評価していただき、交流できる場を設けていこうという趣旨で始めた事業です。その趣旨にかなって、本日も多くの皆さんが自分の活動を見直し、また評価される活動をしているという自信を持っていただけたのではないかと思う。また、市内には様々な協力できそうな団体があるということを感じていただけたと思う。

 昔は役所と民間とがはっきり分かれていて、民間のことに役所が介入することもなかったように思うが、今は民間でできることはできるだけ民間で行ってもらうというなかで、皆さまの地域における活動がより良く地域の活性化につながっていると思う。役所でできる事業には限界がある。また役所で行っている事業も民間がやれば、さらにプラスの面がでてくると思う。これからも積極的に活動を続けていただきたい。

 狛江市は穏やかなまちという印象があり、市民も皆控えめなので、例えば「ヘルマンさんの会」の活動も、さらに広く宣伝していただき、今以上に自分たちの活動の成果を広く発信してもいいと思う。この控えめで穏やかなところが狛江の長所でもあり、そんな狛江のまちが大好きで、今日もますます豊かさを感じることができて良かった。

 選考会というものは、選考する際に短所に目を向け、長所に目を向けないというような印象を受けるかもしれない。でも皆さんの活動というのは市民を中心としたボランティア活動であるので、選考委員は決して事業に対して短所を見つけるということではなく、いかにいいところを見つけ出そうかという姿勢でいたつもりです。ただし、補助金という税金を使うものなので、やはり公正にかつ厳正でなければならない立場にある。そのようなことから、もしかすると皆さんの中には選考委員の質問等が厳しいと思われたかもしれない。しかし、それは決して選考委員の本意ではないので、ご理解いただきたいと思う。
 皆さんの事業はボランティアにもかかわらず、事業を達成することも意識して活動しているので、相当なエネルギーと努力が必要だと思う。ぜひこの補助金を有効に使って、より良い事業にしていただき、来年の事業報告会には成果のある報告を期待している。