◆「狛江らしい武蔵野の路」話し合い会報告書
〜狛江市多摩川土手「武蔵野の路」整備への提案〜


「武蔵野の路」とは・・・
 東京都の長期計画に示された、地域の自然・歴史・文化などにふれながら周回できる遊歩道で、都内では21コースが整備・計画中です。東京都の予算で整備し、地元自治体が計画・施工・維持管理をすることが原則となっています。狛江市の多摩川土手部分も「二子・是政コース」の一部として位置付けられています。

 「狛江らしい武蔵野の路」話し合い会では、多摩川の土手上の整備方法について平成14年7月から話し合いおよび土手歩きによる視察等を行ってきました。
 誰もが安心して多摩川の自然に親しみ、くつろげる空間にするための報告書をまとめましたのでお知らせします。
 また、会では、報告書について市民説明会を開催します。
〔日時〕8月2日(土)午後2時から
〔会場〕狛江市役所小田急線高架下103・104会議室
なお、報告書(全文)は市ホームページでもご覧いただけます。

〔問い合わせ〕計画課

●これまでの経緯

 東京都の長期計画に示された、地域の自然・歴史・文化などにふれながら東京を周回できる遊歩道を整備する「武蔵野の路」整備基本計画は、市では平成3年に多摩川土手上を利用した「サイクリングロード建設」と土手を「拡幅・盛土する工事」として施工されようとしました。
 市民からは賛否両論が寄せられましたが、その計画が、
① 市民への説明が不十分な中で決められ、実行されたこと
② 調布市・世田谷区などでは、スピード走行の自転車が歩行者と接触事故を起こすなどしていたこと
③ 当時280種もの植物が植生していた土手の自然と景観を不必要に壊す工事であること
などから、整備工事は第1期の調布市境70<CODE NUM=3C5D>を行って中断し、市民参加で整備方法を考える「第1次・武蔵野の路話し合い会」が開かれ、平成4年4月から28回の会合を重ね「報告」をまとめました。
 その後「第1次・武蔵野の路話し合い会」は、多摩川周辺の大規模工事である二ヶ領宿河原堰改築工事(※1)、多摩水道橋工事(※2)が続き、「武蔵野の路」二子・是政コース(※3)整備予定が立たないため、平成7年に休会となりました。
 「第1次・武蔵野の路話し合い会」の報告では、「武蔵野の路」整備への提案として「土手の自然・形状を守り、狛江らしさをよりアピールし、演出していくことを基本とし、整備方法に関しては市民参加で決定すること」また「舗装については、土の感触をもった舗装など、狛江の多摩川の個性を活かし、自然と対話するのにふさわしい種類が望ましい」とまとめています。そして、その提言が公募による市民委員全会一致でまとまり、東京都の「武蔵野の路」整備方針となんら抵触するものではないとしています。
 多摩川周辺の大規模工事も終わり、市民から土手上の整備要望がたびたび市に寄せられることなどから、報告の趣旨を前提として、平成14年7月、新たに市民公募による「狛江らしい武蔵野の路」話し合い会をスタートさせ、このほど「武蔵野の路」整備方法についてまとめました。

●狛江らしい武蔵野の路

 狛江市の多摩川とその周辺は、都市にあっても比較的自然が残されている川らしい川で、河川敷と土手は周囲に高層の建物も少なく、水防上、植樹もされなかったことから、遮るもののない空に向かった開放的な空間となっています。
 土手の法面(※4)には、減ってきているとはいえ豊富な種類の植物が見られます。土手の天端(※5)からは、四季折々の多摩川と富士・丹沢・奥多摩・奥秩父の山々が見渡せ、豊かな自然と景観に親しめる場所となっています。また、六郷用水取水口や水神、近くには万葉歌碑など歴史資源も豊富なところです。武蔵野の自然・歴史と文化にふれる散策路をつくるという東京都の「武蔵野の路整備方針」に基づきつつ、さらに私たちは多摩川の土手を車イス、歩行者、乳母車、ジョギング、自転車による通勤通学やサイクリングなど、さまざまな利用形態と利用目的が共存できる空間として、かつ、誰もが安心して多摩川の自然に親しみ、くつろげるよう整備していく場所と考えました。以下、具体的な整備方法についての提言です。

●現地を歩いての問題点

① 市街地から多摩川へのアクセス(導入路)が安全でない

 主な5カ所を取り上げて、傾斜や段差などを調べたところ、ほとんどが車イスの自走に適していない状態でした。また、車の乗り入れなど交通安全上問題のところもあり、改良が必要と考えます。
② 天端をコースとした場合の危険な箇所
▽世田谷通り(多摩水道橋)と土手が交差するところ
 
世田谷通りと土手が交差するところは、川崎市方面から多摩水道橋を渡って左折してくる車輌が多く危険です。都市計画道路「調布3・4・17号線」開通の折には左折車の規制を行い、通行車輌を少なくするべきですが、それまでは歩行者などの安全な通行の確保を調布警察署にお願いし、狛江高校側に作られた河川管理用道路(※6)も併用できるようにします。
▽猪駒通りと土手が交差するところから下流(土手上の生活道路)
 元・川仙前の生活道路は通行車輌が多く、なおかつ幅員が4m程度の箇所もあり、決して安全であるとはいえません。会では安全確保のために、別のコースとして高水敷(※7)にある緊急用河川敷道路(※8)を利用することも検討しました。しかし土手に設置する坂路(※9)と多摩川の水流の関係等から高水敷の利用は認められず、天端以外の別コースの可能性はなく、天端で安全確保の方法を考えなければなりませんでした。
 生活道路の一部に車輌がすれ違える空間を設け、その他の部分は一車線通行とし、「武蔵野の路」の安全を確保するよう提言します。
③ 現状の土手上の砕石舗装は改良が必要
 現状の砕石舗装は車イスの利用に適さず、歩きにくさも指摘されています。平坦性確保のため「狛江らしさ」を踏まえた何らかの舗装をすることが必要です。
④ 現在、五本松前の土手上を時間で開放している暫定自動車通行
 小田急線が高架化される以前の踏切により発生していた、慢性的な交通渋滞に対処する名目で暫定開放された五本松前の天端道路の自動車通行が、小田急線高架完成後も引き続いています。土手上を誰もが安心して利用できる空間にするためには、自動車の利用はないことが望ましく、少なくとも都市計画道路「調布3・4・17号線」開通までには廃止されなくてはならないと考えます。
⑤ 自転車のスピード走行について
 自転車のスピード走行は、接触事故などの危険を伴います。これは歩行者との接触に限ったことではなく、自転車同士の事故も考えられます。スピード走行の自転車を常に気にしなければならない状態は「誰もが安心して多摩川の自然に親しみくつろげる」空間とはいえません。自転車と歩行者の共存を目指します。

●舗装方法の検討

①4つの眼目
▽車イスなどの利用のために現状より平坦性を高めること
▽調布の土手などで起こっている自転車と歩行者などとの接触事故を防止し、自転車のスピード走行を抑制する方法を考えること
▽できる限り、多摩川の自然や景観を損なわない方法を用いること
▽なるべく施工費が安く管理が容易で、管理費用がかからないものにすること
② 専門技術者を招いた舗装勉強会、市内・外の施工例見学から導き出した結論
▽土の感触をもった舗装方法については、クレイ舗装やダスト舗装などを検討しました。これらは施工費および維持管理費が高く、また埃が立つ、排水設備がいるなどの理由により、「狛江らしい武蔵野の路」には不適格ということになりました。
▽市内の公園・遊歩道にも用いられている「木道」は狛江らしさや散策路としての演出には向きますが、主な舗装方法としては適していません。
▽アスファルト舗装は平坦性が高く、施工費が比較的安価で、かつ耐久性もあります。しかし、自転車のスピード走行につながるため、それを抑制する構造を検討したところ、車イスの走行にも支障をきたし、土手の景観を悪くするなどから良い方法を導き出せませんでした。
③主な舗装方法について
 市内・外の施工例を視察し主な舗装方法を検討した結果、転圧小砂利舗装(※10)を「武蔵野の路」の主な舗装方法とします。
▽理由1
現状の砕石舗装より平坦性が高く、土手の景観にも合っている。
▽理由2
自転車のスピード走行を抑える。
▽理由3
現在の景観を大きく損なわない。
④ 市民ボランティアによる細かなメンテナンスを導入
主な舗装として採用する転圧小砂利舗装は耐久性が低いことが予想されるため、細かなメンテナンスが必要です。ボランティアを中心とした市民と行政との協働による維持管理を行います。

●その他整備方法の検討

①調布市境の「武蔵野の路第1期工事(70m部分)」は舗装の傷みがひどく、不自然に曲がったコース取りから舗装されていない部分の「へこみ」を誘発するなどの問題があります。既設アスファルトをはがし、新たにアスファルト舗装をし直す必要があります。ただし、一般道に用いられているものより、色や材料を工夫し自然に近いものにすることを要望します。
② 水神前のモニュメント前までは、調布市との連続性を重視し、アスファルト舗装(調布市境70m>と同様自然に近いもの)での整備を要望します。
③ 水神前から土手天端へのアクセス箇所周辺については、多摩川の眺望もよく、近隣の歴史資源も恵まれています。隣接する市有地(業者の資材置場等で利用されている)も含めて、木道等を配した一体的な整備を要望します。
④ 舗装幅については調布市・世田谷区の2・5mより広くし、空間として利用できるような整備を要望します。アスファルト舗装の場合は4・5mで統一し、転圧小砂利舗装の場合は天端の両端を50㎝確保し、残りの舗装を要望します。

●市民と行政との協働による管理体制

①メンテナンスに労力を要しても、土手の自然と景観を守り、誰もが安心して利用できる整備方法を採用しました。
② 狛江弁財天池緑地保全地区の管理体制を参考に、市民による管理団体を立ち上げ、市には管理に必要な材料や用具などを準備してもらいます。
③ 転圧小砂利舗装は、破損の規模が小さいうちに手入れを行うことで、大きな補修を減らすことができます。土手を利用している人などに情報を提供してもらい、破損状況の「監視」と「補修」の2つの体制をつくり、月1回程度、「補修」に市民ボランティアが従事し、最終的な管理責任は行政が負います。また市民への積極的な呼びかけにより、ボランティア活動の参加者を広く募集しようと考えています

<用語の解説>


※1 二ヶ領宿河原堰(にかりょうしゅくがわらぜき)改築工事
 農業用水の取水のために、コンクリート堰となったのは、昭和24年。狛江水害がきっかけとなって、洪水の流下の障害となる固定堰を平成11年可動堰に改築
※2 多摩水道橋工事
 平成13年に新橋梁架替工事が完了し、2車線から4車線になる。相模川の水を川崎市長沢の浄水場を経て都内に供給するための水道管が設置されており、これが橋名の由来となっている。
※3 二子・是政(ふたごこれまさ)コース
 「武蔵野の路」のうち二子橋(世田谷区)〜是政橋(府中市)間の多摩川左岸のコース
※4 法面(のりめん)
 堤防等の斜面のこと
※5 天端(てんば)
 盛土の頂部。土手の上部にある平らな面
※6 河川管理用道路
 多摩水道橋の下にある、河川管理用車輌等が通行するトンネル状の通路もその一部
※7 高水敷(こうすいじき)
 河川敷のうちで高水時のみ水の流れる部分をいう。多摩川緑地公園グランドや自由ひろばもここに含まれる。
※8 緊急用河川敷道路
 国土交通省が多摩川水系河川整備計画の中で整備している。緊急災害発生時に物資の輸送や復旧、救済活動等を円滑に行うことが目的。河川敷のすべてに整備されているわけではない。
※9 坂路(はんろ)
 天端から高水敷に下りるためのスロープ。川の流れ(上流から下流)と同じ方向で下りるスロープが原則
※10 転圧小砂利舗装(てんあつこじゃりほそう)
 現状の砕石舗装よりも平坦性が高い。アスファルト舗装よりも自転車のスピード走行の抑制効果が期待される。反面、細かなメンテナンスが必要

◎多摩川の土手整備については、市議会や市長への手紙でも舗装を求める声が寄せられており、この報告書を受け、市として舗装方法や維持管理を含めた具体的な検討を行います。ご意見のある方は計画課までお寄せください。