令和8年1月15日号特集インタビュー記事(富の湯)
特集「狛江×銭湯」富の湯インタビュー
広報こまえ令和8年1月15日号の特集で銭湯を取り上げ、それぞれの店主さんにお話を伺ってきました。
紙面の都合で掲載しきれなかった内容も含めて、インタビュー記事としてホームページで公開します。
富の湯は地元で親しまれてきたアットホームな銭湯で、昔ながらの銭湯の趣を残しています。
富の湯の概要
所在地 :狛江市西野川4-5-14
営業時間:午後2時~午前0時(午後11時30分最終受付)
※日曜日 朝湯営業もあります。午前8時~正午(午前11時30分最終受付)
定休日 :月曜日
電話番号:03-3488-2272
駐車場 :有
ホームページ:https://tominoyu.com/
入浴料:大人550円、小学生200円、未就学児100円(都内統制価格)
※サウナ等は別料金
■創業時の富の湯のこと
西野川にある銭湯の「富の湯」の冨永 祥孝さんにお話をお伺いいたします。
【インタビュアー】
富の湯の創業の頃の様子を教えてください。
【冨永さん】
富の湯は私の祖父が今から59年前の昭和42年に創業しました。富の湯を創業した頃は家庭用のお風呂もまだそこまで普及していない時代でした。
もともとは酒屋をやっていたのですが、その場所の隣で銭湯を始めることになりました。その当時は狛江団地(都営狛江アパート)ができた頃で、そこに引っ越してきた住民の利用も多かったと聞きます。
【インタビュアー】
「富の湯」の名の由来は、やはり冨永さんの苗字からですか。
【冨永さん】
はい。苗字の冨永から一文字とっています。本当はワ冠なのですが、ウ冠の「富」を使用しています。
【インタビュアー】
番台は脱衣所の外にありますがいつからですか。
【冨永さん】
創業当時は昔ながらの銭湯の作りだったので、脱衣所の中に番台がありました。平成元年の改装のときに、入口のカウンターを作って今の形になっています。
【インタビュアー】
富の湯のお風呂はどんな特色がありますか。
【冨永さん】
ジェットバス・ジャグジー・電気風呂・水風呂・露天風呂など複数の風呂が楽しめますし、露天風呂ではお風呂に入りながら空が見えるのも自宅では味わえない魅力です。なお、露天風呂は日替わり風呂となっていますので、さまざまな効用や香りが楽しめます。
最近のサウナブームもあり、若い方の利用者も増えてきています。サウナは銭湯利用料金に追加料金200円で入れるので、利用しやすい値段設定になっています。板材を新しいものに変えたばかりなのでヒノキの香りで気持ち良い空間になっていると思います。
■富の湯の魅力について
【冨永さん】
地域の方々に長年親しまれており、地元の常連のお客さんが多いので、住民同士のコミュニケーションが多いのが魅力だと思います。
【インタビュアー】
最近ではドラマや映画への協力も多くされていると聞きます。どのような経緯があったのでしょうか。
【冨永さん】
以前からドラマなどの撮影の申込みはたびたびあって、すべて自分で対応していたのですが、人手も足りずに対応が大変になってきたところ、狛江ロケーションサービスが立ち上がってロケ地登録の募集を広報こまえで知ったのですぐに申込みをしました。それからは狛江ロケーションサービスのスタッフの方が撮影チームとのやり取りや現場立ち合いをしてくれるようになったので、本当に助かっています。
少し前にテレビ朝日系列のテレビドラマ「コタローは1人暮らし」では、主人公(横山裕さん)がアパートにお風呂がないという設定だったので、銭湯に通う場面として富の湯を何度も使用していただきました。
ビールのCMであったり、映画の撮影であったり、最近では海外向けのファッションブランドのPR用としても使用していただいています。
■えんとつについて
【インタビュアー】
えんとつがひときわ目を引きますが今も使用しているのでしょうか。
【冨永さん】
はい。創業当時から使用しているえんとつです。最近はガスや電気でお湯を沸かしている銭湯も多いですが、富の湯では創業のときから薪でお湯を沸かしています。お客さんからは薪で沸かしたお湯は柔らかいと褒められることもあります。
【インタビュアー】
えんとつの中はどのようにメンテナンスしているのでしょうか。
【冨永さん】
えんとつは我々で登ることはなく、業者の方に半年に1回、お願いしています。えんとつの中に入って煤(すす)を取り払いながら掃除をしてもらっています。業者の方も後継者不在で、だんだんと少なくなってきてしまっているようです。
■お湯の沸かし方について
【インタビュアー】
薪の場合、お風呂の温度はどうやって調整しているのでしょうか。
【冨永さん】
お湯の温度は自動設定できるのですが、釜の中の温度は人間が調整しています。状況を見ながら薪を足して、温度が下がらないようにしています。温度が上がりすぎると沸騰してしまいお湯が濁るので、釜の温度は上がり過ぎても良くないんです。夏と冬では、水や空気の温度も違いますので、その辺はこれまでの経験で調整しています。
【インタビュアー】
薪はどのように入手するのでしょうか。
【冨永さん】
主に建物等を解体したときに出る廃棄木材や端材を燃料として利用しています。最近では薪でお湯を沸かす銭湯が少なくなっているので、口コミの紹介で持ち込む業者が広がって来ています。夏場は薪の使用量は減るのですが、できる限り断らないように心掛けています。
【インタビュアー】
釜はどちらにあるのでしょうか。
【冨永さん】
釜は裏手のえんとつの下あたりにあります。薪でお湯を沸かしているため、どうしても煤(すす)が出ます。また、釜は傷みやすいので、概ね10年で入れ替える必要があるのですが、この費用が一番かかります。
【インタビュアー】
毎日お湯を沸かすのは大変ですね。他には大変なことは何ですか。
【冨永さん】
実は銭湯を開けるまでに労力と時間が非常にかかっています。日々の清掃も大変ですね。浴室・浴槽・排水溝・脱衣所・待合いスペースなどを清掃し、それが終わってからお風呂を沸かして、銭湯を開ける準備をしています。最近では光熱水費の高騰も影響は大きいです。
また、入浴料が大きな収入源ですが、家にお風呂のない家庭はほとんど今ではなくなって、いったんはお客さんの数も落ち込んだのですが、最近はサウナブームもあり、若い人も多く来ていただいているので一時よりも増えてきました。広いお風呂で足を延ばして入れるお風呂が気持ち良いと毎日来てくれるお客さんもします。
■銭湯の経営について
【インタビュアー】
銭湯をやっていて嬉しいこと、面白いところはどんなところでしょうか。
【冨永さん】
お客さんと話をしたり、交流することが楽しいですね。「また来るね」「気持ちよかったよ」と言ってくれて喜んで帰っていただくと嬉しいです。小さい頃から知っている子どもたちが成長する姿を見れますし、数年ぶりに「また来たよ」と言ってくれることもあり、それも嬉しいですね。
若い人や銭湯に行ったことのない人に、銭湯の広いお風呂に入ってもらって、銭湯の良さを知ってもらいたいですね。
■冨永祥孝さんについて
【インタビュアー】
祥孝さんは何代目にあたりますか。
【冨永さん】
祖父が創業し、二代目は私の両親の代になりますので、私は三代目に当たります。
【インタビュアー】
子どもの頃はどんな思い出がありますか。
【冨永さん】
富の湯のすぐ裏に狛江第七小学校(現在の狛江市中学校給食センターの場所)がありましたので、校庭で野球やサッカーなどスポーツばかりしていました。狛江団地の中の通称たこ公園(藤塚第三公園)でよく友だちと遊んでいました。当時は狛江団地に小さい子供がたくさんいたころで、友だちも多くいました。
【インタビュアー】
狛江市消防団の活動のことについて教えてください。
【冨永さん】
消防団に入って15年目になります。現在、野川分団の分団長をしています。諸先輩方のアドバイスを受けながら、後輩に知識や技術を伝承することも大事な役割になっています。市内で火事などがあれば駆け付けますし、日頃の消防活動の訓練や機材のメンテンスも欠かせません。銭湯の業務をやりながら、消防団の行事や消防活動も入ってくることもあり、大変なときもありますが、市民の安全のためにはなくてはならない必要な重要な任務ですのでやりがいはあります。
【インタビュアー】
消防団の方々には市民の安全のために日頃から常に準備をされており、本当に感謝しています。いつもありがとうございます。消防団での経験が活きたこともあるのでしょうか。
【冨永さん】
ご高齢の方の利用者が多いので、湯船の中で体調を悪くされて対応することが何度かありました。私は消防団活動の中で救助活動の訓練もしていますので、貧血なのか病気なのか、身体の様子や脈拍を見て、救急車を呼んだ方がいい状況かの判断を適切にできるようになりました。こういったときは消防団の経験が本当に活きていると感じます。営業中にいつでも駆けつけられるように、銭湯のオープン時間は何があってもいいように常に携帯電話を持つようにしています。
■最後にメッセージ
【インタビュアー】
最後に市民へのメッセージをお願いします。
【冨永さん】
狛江市は小さい市なのでいろいろとぎゅっとつまっています。富の湯をコミュニケーションの場、癒しの場として活用していただければと思います。
銭湯の大きなお風呂に入ると、体にも心もさっぱりしてとても気持ちが良く、疲れの取れ具合が違います。銭湯の良さを知っていただいて、銭湯の魅力を再発見いただければと思います。

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