天保5年(1834)と天保7年に刊行された江戸時代の地誌『江戸名所図会(えどめいしょずえ)』を見ると、弁財天池の伝説が記されています。奈良の大仏の開眼供養をおこなった良弁(ろうべん)が、干ばつに苦しむこの地を訪れ、雨乞いをおこなったところ、竜蛇があらわれて雨を降らし、その時に湧き出た「霊泉」が弁財天池だといいます。この伝説は、弁財天池から湧き出る清水の恩恵に、多くの人々があずかっていた証と考えられます。

弁財天池(『江戸名所図会』より)