1 開催形式

書面開催とし、令和2年5月8日(金曜日)~6月21日(日曜日)を提出期限とする意見等の提出を持って出欠を判断した。

2 出席者

委員長 石田寿彦 

委員 愛甲悦子、安藤雄太、石田琢智、宍戸泉、深谷慎子、松崎学

3 欠席者   なし
4 資料

・市民公益活動事業補助金申請書

・市民公益活動事業補助金申請事業収支予算書

・事業計画書 等

5 選考の流れ

(1) 申請書類を基に申請団体への質問及びその回答

(2) 選考基準を基に各選考委員による1次評価

(3)1次評価の結果についての意見集約・協議

(4) 採択、不採択及び補助金額の決定

6 議事
 

(1)事業内容

【こまえアレルギーの会】

 昨年度は、食物アレルギーの理解促進の場づくりで3つの食を介した事業を開催した。多数の参加者と入会者があり目的が達成出来た。今年度は、新型コロナウイルス感染症の状況により閉ざされた環境での交流や情報共有が困難となった。そこで昨年度の経験を踏まえ、ウイルス感染リスクを考えなくて良い動画製作と配信によってアレルギー疾患者間の交流と情報発信を試みる。具体的には食物アレルギー対応のたこ焼きのレシピを開発提供し、実際に調理風景を撮影、レシピ公開とともにYouTubeにて配信する。これにより、狛江市内外のアレルギー疾患者と家族の関心を呼び寄せ、SNS上での交流をする。このことで、こまえアレルギーの会への入会者数の増加と狛江市を中心に全国の皆さんと交流を期待する。

 

【地域のつながりと防災を考える実行委員会】

 東日本大震災において津波により次女を失い、現在は全国で防災講演活動を行う石巻市の佐藤敏郎氏と、小金井市で保育所・認知症デイサービス・地域の寄り合い所の三つの機能をあわせ持つ福祉施設「地域の寄り合い所 また明日」を運営する森田眞希氏の対談講演を開催。

 年齢、性別、世代、障がいのあるなしにかかわらず、一人ひとりの違いを理解し、支え合える関係性を作り、防災にどのように生かせるのかを狛江市民と共に考える機会とする。また、その結果として、高齢者、子ども、障がいのある人など社会的に弱い立場にある人への理解を深め、災害に強い地域をつくる。

 

【多摩川キャンドルナイト灯と人実行委員会】

 和泉多摩川の河川敷において、毎年キャンドルを2,000本以上並べる地域のための環境&アートのイベントと事業。昨年の令和元年東日本台風で荒れてしまった多摩川を再び元気に盛り上げていくために、新型コロナウイルス感染症から立ち直っていくために、希望の灯りを灯したいと考えており、秋の終わりにキャンドルを並べる。集客数は1,500名を目指し、予算30~40万円ほどの小さなイベントである。

 

(2) 質疑応答(要旨)

【こまえアレルギーの会】

(委員)今年は「3密」回避が重要と思われるが、いかなる対策を考えているか?

(団体)参加人数が密にならないように限定し、食べる場所は換気の良い広い会場を予約したいと思う。国のガイドラインに沿って感染症予防を徹底したいと思う。開催についての判断は状況を見て無理をしないように努める。

(委員)YouTubeを見られない世代や家族へのフォローはどのように考えているか?

(団体)総務省情報通信白書の数字では子育て世代9割以上がネットアクセスできる状況である。そのため、当会が想定している対象者にはYouTubeでのアプローチで十分な効果があると考えている。御指摘の点については接続が難しい方々に対して、当会ではこまえくぼ1234でのHP部会に所属し、こまえくぼHP利用についてのHP説明会開催などネットが身近になるようなサポート支援を行っている。また、会報誌を年度末に発行し公民館等に設置配布する。HPなどで投稿を見かけたらぜひシェア等協力お願いしたい。マスコミなどに取り上げていただけるようなアプローチをしていきたいと思う。

(委員)交流と理解を深めたい、その先の最終目標、目的は何か?また、一番やりたいことは何か?

(団体)当会は患者会で趣味の会ではない。更に寛解出来なかったアレルギー疾患は治癒する事は極めて稀で、アレルゲン除去による生活が一生強いられる過酷な疾患である。当会は日常的に我慢や不便をしている部分のサポートをし、楽しさや学び、成功体験を増やし前進するための事業開催を目指している。審査員の方々にも是非アレルギー疾患についての理解を深めて頂ければ幸いである。

 

【地域のつながりと防災を考える実行委員会】

(委員)講師などもう少し身近なところから招き少人数からスタートし、仲間の輪を広げて行くことも考えられるが、その手法はどうか?また、どの程度の参加者を見込んでいるか?新会員は何人ぐらい見込めるか?

(団体)今回申請した企画は、長年在住している狛江市内の「地域のつながりや防災」について積極的にボランティアとして貢献したいと考え、狛江市において無料で開催し、狛江市のみなさんに参加していただくことにこだわって発案させていただいた。暮らしやすい地域づくりを市民の皆さんとともに考え、実践していくことを目的としている。
 本会の趣旨としては、本会そのものを継続し、拡大発展させていきたいというよりも、本会が企画する申請事業を、狛江の中で多様な市民が地域のつながりと防災力を考える呼び水としたいと考えている。現状でも狛江市内の市民団体とは多くのつながりのある会員3名で構成しており、この実行委員会がハブの役割を果たし、数多くの既存市民団体と連携を深めながら有機的な活動へと発展させて行きたいと考えている。
 会場での参加者は200名程度(新型コロナウイルス感染予防対策が必要な場合には会場の状況を見て100~150名程度)を見込んでおり、そのほか、会場に来られない方にもコマラジにて聴講いただけるようにしたいと思う。

(委員)今年度の講演会では、新型コロナウイルス感染症の影響で「3密」回避が求められると思うが、講演内容を新型コロナウイルス感染症対策込みの内容にシフトすることは可能か?例えば、終息しない場合にYouTubeやラジオ放送等を利用して広く市民へ伝えることは可能だが、他の手法は検討されているか?

(団体)御指摘のように、本事業のような講演会の開催において、今後、感染症対策は不可避と考える。本事業においては、企画主旨として防災における地域のゆるやかなつながりの必要性を強調するものであり、本事業を通して地域防災に関心のある市民同士がリアルの場で出会いつながる契機とするためにも、定員調整なども行いながら会場内のソーシャルディスタンスや参加者の手指消毒、換気等に配慮しつつ、可能な限り対面での講演会形式で実施したいと考えている。ポスト・コロナの「新しい生活様式」が、人と人の物理的な出会いやつながりを希薄化するものであってはならないと危惧している。
 また、その上でも感染などに対する不安から参加を見合わせる方や、当初から会場に出向いて参加することが難しい方(御家庭の事情や仕事の予定、身体が不自由、子育てや介護で参加できないなど)にも御自宅等で聞いていただけるよう、コミュニティラジオを活用して放送する予定である。そのことで、防災時に市民がコミュニティラジオを活用するための防災訓練にもつなげることができると考えている。
 同時に、本事業の開催予定である9月には未だイベント開催が難しい可能性もあることから、代替時期として令和3年2~3月ごろを予備日として設定している。しかしながら、予備日においても冬季の再流行が懸念されている。年度内の対面での講演会形式での開催が困難と判断される場合にはオンラインでのライブ開催や動画配信等の代替手段も検討し、準備を進めているところである。

(委員)講演会で得た事、意見はどのように反映・活用されるのか。また、市の避難所運営協議会との連携・協力(協議会への積極的な参加・協力)についてはどのように考えているか。

(団体)講演会をきっかけに狛江市内の市民団体と連携してその後の防災への取組を共に考えていきたいと思う。ここでの市民団体とは、既に地域で防災の取組をされている町内会や防災会、避難所運営協議会、消防団なども含む。本講演会でも、それぞれの団体にお声かけをして、参加を求めていく。また、これまでの運営上の具体的な困りごとなども共に考える機会となればと考えている。
 本実行委員会の会員には、昨年の台風19号被災時に避難所運営協議会による避難所の設営と運営をお手伝いをした者や、避難所運営協議会の会議を取材したことのある者もいる。それらの体験を通して、「避難所運営協議会のメンバーが高齢化しており、地域の防災力を高めるためには幅広い世代の協力が必要なのではないか」と実感したことも、今回の講演会の企画発案の理由の一つである。
 「地域のつながりと防災」は、狛江市に住む全員が考え、協力し合うことが不可欠である。防災は、来るか来ないか分からない災害時だけのものではなく、日常の地域のつながりを豊かにすることと深くつながっていることを、御参加・御視聴いただける皆さまに実感していただき、幅広い世代に自分ごととして考えていただけるきっかけになれればと願っている。選考委員の皆さまにもぜひこの講演会に御参加いただければ幸いである。

 

【多摩川キャンドルナイト灯と人実行委員会】

(委員)過去の事業では補助金なしで実行されていたが、今回150,000円の補助金を申請している。この補助金で過去の内容より豊富な事業を目指しているのか、それとも過去同様の内容であるか?

(団体)規模としては毎年、2,000本ほどのキャンドル数であったが、今年度は3,000本を目指している。

(委員)収支が心配であるが、今後の継続のためにも何か新しい発想はあるか?

(団体)ここ数年、回数を重ねるたびに持続的に使える物品を購入し、それらが揃いつつある。キャンドルホルダーを少しずつ購入してきた。キャンドルホルダーのレンタル料が掛からなくなるようにすることや、ティーキャンドルの金額を減らすことができる。また、昨年よりクラウドファンディングにおいて、どのように掲載工夫をすれば支援金が集まるようになるかの私たちなりのポイントが見つかりそのブラッシュアップが今後見込まれる。具体的には「体験型のリターン」の導入である。今後、スタッフ内で特殊なキャンドルを製作するキャンドル作家を輩出する。今までのつながりもあり、3名のキャンドル作家と一緒にイベントを作り上げてきたが、1名が独立し1名が移住しているのため、1名のキャンドル作家が残りつつ、自前のデザインキャンドルを作ることで予算の支出を減らしながら質を担保することを目指していく。

(委員)今年度のコロナ禍で人の集まりは難しいように感じている。この企画はとても素晴らしいが、なんとか持続させるために動画配信等を考えているか?

(団体)通常の企画の進行と同時に、キャンドル作家とライブを中心とした動画配信の可能性を模索してしていく必要があると感じている。灯す本数を500本に減らし、人に気づかれない場所(換気が良いカフェや屋上や隠れたテラスなど)で実施を想定しているが、こちらに関しては通常のイベントの1/10のマンパワーで済む見込みである。
 また、私たちは、丸子橋で5月9日に「キャンドルスケープ川崎」というキャンドルイベントを実施する予定であったが、新型コロナの拡大防止のため7月23日に延期している。それでも、7月23日の実施は不透明である。後援に入っていただける川崎市からも「6月に入ってからのコロナの状況によっては再延期もしくは中止」という御意見をいただいている。
 上記のように、秋に入らないと判断がしづらい部分がある。11月初旬に本イベントの予定をしているが、9月後半にイベントは延期・中止となる判断をする必要がある。今までのデータからお客様の滞在時間は約1時間程度となり、お客様の入れ替わりを踏まえると、実際300~400名のお客様が現地に居るということになる。花火やフェスのような密集をするイベントではないが、ライブエリアだけは密集の対策が必要となるために「2m開けたピクニックシートをこちらで張り、そこへ御家族様ごとに座っていただく形」とする。私たちもせっかくの準備を進めたイベントを中止にすることは悲しいことであるが、地域のお客様あっての地域イベントとなるので客観的な判断をしたいと思う。

 

(3)選考会からの講評(要旨)

【こまえアレルギーの会】

 「啓蒙活動として一定の効果がある」等の好意的な意見もある一方、2年目のチャレンジ補助金制度を活用する団体であるため、補助金だけに頼らず、もう少し自助努力をしてもらいたいという意見が強い。昨年度は企業の支援を受けて事業を実施できていることから、今年度も企業とのつながり等を活かし、自立・継続した団体運営ができるよう期待を込めて昨年度と同額の150,000円の採択が望ましい。

 

【地域のつながりと防災を考える実行委員会】

 事業の先駆性・将来性、事業計画などが選考項目として含まれる一次評価において基準点に達していない。しかし、選考委員からの「避難所との連携・協力を期待したい」という意見や、ボランティアで、かつ市民公益活動としてスタートしようという意欲などを評価する意見、また、新型コロナウイルス収束後の「新しい生活様式」、「with コロナ」などといった講演内容への変更を視野に入れての実施を望む意見等に鑑み、採択が望ましい。ただし、当団体の活動は準備段階との指摘を考慮して「スタート補助金」並みの50,000円といたしたい。

 

【多摩川キャンドルナイト灯と人実行委員会】

 基準点を満たしており、選考委員ほぼ全員がこの事業について高い評価をしていることから採択とし、補助金額も申請額どおり満額の150,000円が望ましい。選考委員からの意見では、「クラウドファンディングや支援金の工夫など自助努力が感じられる」、「市内のイベントとしては先駆的であり、環境&アートイベントとしても将来性を感じる」等々、好意的な意見が多数寄せられた。なお、多摩川河川敷を使用する事業につき狛江市当局等には事前に所定の手続きを行うことが前提となる。