平成29年度第1回総合教育会議会議録

日 時  平成29年6月20日(火)午後2時~3時10分

場 所  狛江市議会第一委員会室

出席者   会長 高橋 都彦(市長)

     委員 佐藤 正志,熊谷 勝仁,千葉 眞理,鈴木 晃子,有馬 守一(教育委員会)

事務局  高橋 良典(企画財政部長),田部井 則人(政策室長)

     平林 浩一(教育部長),柏原 聖子(教育部理事兼指導室長),宗像 秀樹(学校教育課長)

欠席者  なし

傍聴者  1名

議 事  ○議事説明  資料1 [37KB pdfファイル] 

     ○協議・調整事項

      1.狛江市教育大綱・第2期狛江市教育振興基本計画(平成29年度ローリング版)について  資料2 [425KB pdfファイル] 

      2.自閉症・情緒障がい固定学級の設置について 資料3 [69KB pdfファイル] 

-発言要旨-

○会長

 これより,平成29年度第1回狛江市総合教育会議を開会します。
 議事に入る前に,本日の議事の概要を事務局から説明致します。

○事務局

 それでは,事務局から本日の議事の概要を説明します。
 まず,「協議・調整事項1.狛江市教育大綱・第2期狛江市教育振興基本計画実施計画(平成29年度ローリング版)について」につきましては,平成26年度に教育委員会が策定し,その後,教育委員会制度改革に伴って,狛江市の教育に係る大綱として位置付けた狛江市教育大綱・第2期狛江市教育振興基本計画の実施計画について,本年度も見直しを行い,今年度から平成31年度までの3か年の事業展開を整理しています。本件は,教育部長よりこの計画案の概要を説明した後,協議・意見交換をお願いするものです。
 次に,「協議・調整事項2.自閉症・情緒障がい固定学級の設置について」につきましては,現在,教育委員会において検討を進めている自閉症・情緒障がいの固定学級の設置について,これまでの検討の経過や,今後の課題を整理したもので,本件も,教育部長よりその概要を説明した後,協議・意見交換をお願いするものです。
 なお,本日は,資料1のとおり,事務局として,市企画財政部から,高橋企画財政部長と田部井政策室長が,教育委員会教育部から平林教育部長,柏原教育部理事兼指導室長と学校教育課長のわたくし宗像以下,学校教育課職員2名が出席しています。
 事務局からの説明は,以上です。

 

○会長

 まず,「協議・調整事項(1)狛江市教育大綱・第2期狛江市教育振興基本計画実施計画(平成29年度ローリング版)について」,事務局から説明をお願いします。

 

○教育部長

 「協議・調整事項1.狛江市教育大綱・第2期狛江市教育振興基本計画実施計画(平成29年度ローリング版)について」説明します。
 まず,「1-2.学習指導における情報機器の活用」についてです。こちらは「項目のねらい」において,国が標準とするICT環境の整備を見据えつつ,昨年度途中から実施している,Pepperを活用したプログラミング教育に触れているほか,狛江三中で行っているオンライン英会話もあわせて記載しています。
 次に,「3-2. 東京オリンピック・パラリンピックに向けた取組みの推進」です。こちらは「項目のねらい」で,2019年のラグビーワールドカップの開催にあたり,2020年東京オリンピック・パラリンピックとあわせて記載し,一連のものとして関係事業を捉えるとともに,来年,再来年に向けて,東京都の事業も含め,このオリパラ事業の拡大にも対応していけるよう,事業展開を検討することとしています。
 次に,「4-1.学校や教育研究所等との連携強化」です。こちらは,平成32年度に予定している子育て・教育支援複合施設の開設を見据えて,教育委員会として必要な準備を進めるとともに,そのなかで,この複合施設一部を担う教育研究所機能についても,これにあわせて整理することとしています。
 次に,「4-2. 特別支援教育に関する連携のしくみの構築」です。こちらは後の議題の関連になりますが,小学校への自閉症・情緒障がい固定学級の設置に関して,新たに記載を加えています。
 次に,「5-1. 総合的な視点からのいじめ防止対策の推進」です。こちらは,本年度,教育委員会のいじめ防止基本方針を改定するとともに,次年度以降関係機関の職員や専門家らによるいじめ問題対策連絡協議会の常設について,記載を加えています。
 次に,「5-2. 教育委員会や学校における危機管理体制の強化」です。こちらは,大塚製薬との包括協定に基づき,本年度から設置を進めている災害対応型自動販売機について,記載を加えています。
 次に,「7-2. 関係部局と連携した地域の人材の発掘・育成」です。こちらは,昨年度,狛江五小で立ちあげた学校支援地域本部について,最終的な全校での実施を見据え,他校への拡充の検討を加えました。
 最後に,13ページ「10-2. 歴史遺産の公開促進と歴史遺産を活用したまちづくり」です。こちらは,平成31年度の猪方小川塚公園の開園を前に,「文化財等をめぐる散策ルートのルートガイドの作成」を加えました。
 それぞれの事業の目的や事業展開に関する加筆・修正は以上ですが,今回の見直しより,総合教育会議の議論を経て,最終的に市の計画として策定することを踏まえ,各項目の総体の事業費の記載を行っています。
 説明は,以上です。

 

○会長

 それでは,この資料をもとに,質疑・意見交換を行っていきたいと思います。

 

○佐藤委員

 何よりも,まずは計画を着実に実行していくことが大事です。特に,先日,国で新しい学習指導要領が告示され,来年度から移行措置期間となり,31年度,32年度と,順次実施されていきます。この新しい学習指導要領を実現していくには,例えばICTを活用した教育活動をさらに充実させていくことであったり,学校図書館がクローズアップされている中で,学校図書館に人的な措置も含めたさらなる拡充が必要であると思っています。このうち,ICTについては,狛江市は東京都の中でも先進的に取り組んできましたが,この間,他の自治体でも取組みが進み,追い付かれつつあるのが現状だと思いますので,その辺りもじっくり検討していく必要があると思います。また,学校図書館については,これまでは読書センター機能と学習情報センター機能という2つの機能が言われていましたが,ここで情報センターの機能が分離し,読書センター,学習センター,情報センターとなりました。これは,学校図書館が教職員に対して授業資料を提供する役割があることを明確にしようとしたものです。そうなると,学校司書の配置時間等のさらなる充実が必要になると思います。

 

○会長

 新しい学習指導要領のポイントとして,小学3年生からの英語教育が入っていたと思いますが,いかがでしょうか。

 

○教育長

 入っています。

 

○会長

 私はその点に強い違和感を覚えます。現在,日本語も満足にできない大人が育っている中で,子どもが日本語をきちんと身に付ける前から英語教育を行うことにどのような意味があるのか,以前から疑問に思っています。私たちが日本の文化や歴史を考えるとき,外国語で考えるわけではありません。英語では訳しきれないようなことを考えて,文化や歴史を考えます。仮に,これを英語に訳して英語の頭で考えようとすると,おのずと英語の文化的な考え方を取らざるを得なくなります。私もよく職員に注意するのですが,「きめ細やかに」などという間違った日本語を平気で使う大人が社会には沢山います。子どもに教える側の大人たちでさえ日本語がしっかりしていない中で,中途半端に子どもたちに英語を学ばせても良いのだろうか,と疑問に思っています。

 

○千葉委員

 小学3年生からの英語教育については,私は英語教育の専門家ではありませんので,その方面からの説明はできませんが,私自身,姪が外国人と結婚しています。言葉を聞き取る能力は,小さい子ほど早く耳で音を拾っていきます。中学校では「言語」として英語を習いますが,小学校の最初の段階では,コミュニケーション能力の一つとして,挨拶や相手の言葉を聞き,そのような言葉を話す人たちとどのように関わっていくのかという視点で,学習が行われていくと良いと思います。今は,幼稚園や保育園でも外国語の活動が行われています。子どもたちにとっては,外国語は周りにあふれているので,私たちよりも身近なものとして捉えられるのではないかと思います。そこで,学校でも日本語の大切さと外国語の大切さ,コミュニケーションに使う言葉が色々あり,学習していかなければならないという時代がきた,ということで私は受け止めています。

 

○会長

 「言葉を話すこと」と「ものを考えること」は,分けて考える必要があります。言葉に反応する,という点では,小さいうちからその言葉に慣れ親しんだ方が,反応する速度も速くなります。私が言いたいのは,子どもが物事を考えようとしたとき,中途半端に外国の言葉や文化が入っていると,それに捉われるあまり,日本語で考えることが充分にできないまま成長していく方が問題ではないかということです。特に,文化的な事柄について自分の考えをまとめるときには,仮に英語を話すことができたとしても,英語で考えるのではなく,文化の良さや情緒的な面も含めて,しっかりとした日本語で考えを組み立てていくことが大事なのだろうと思います。確かに会話力を伸ばすには早いうちが良いと思いますが,単に会話ができれば良いのか,ということです。

 

○教育長

 市長と同じようなご意見の国民も多く,英語教育のあり方については,最後まで喧々諤々議論がされたようです。その結果として,先日示された新たな学習指導要領になっているのですが,ここで押さえておかなければいけないのが,国語教育は1時間も減らされていないということです。国語教育の質の向上と英語教育の問題のあり方は,別に考えていく必要があるということを押さえておかなければなりません。このところで,国語教育の中でも,いわゆる古くからの漢文や古文の基礎的な知識も重要視されてきています。また,読解力や本質を読み取る力は,入試制度を含めて改善されようとしています。

 

○会長

 森鴎外や夏目漱石の小説には,美しい日本語があふれています。現在の学校教育は,このようなものにあまり触れていないと感じています。本当に美しい日本語を知らずに育った子どもたちが,今風の訳の分からない,日本語ではないような言葉で会話を交わしたり,スマホで会話を交わしているのを見ると,まっとうな人間に育っていくのかと心配でなりません。すべて今の教育が悪いとは言いませんが,本当に美しい日本語は,それほど古くまで遡らなくても,例えば明治時代であっても森鴎外や夏目漱石がいるわけです。そのような美しい言葉の大切さを本当に今の子どもたちは知っているのでしょうか。森鴎外の小説を読んだことがある狛江の小学生は何人くらいいるのでしょうか。中学生でもあまりいないかもしれません。それこそが,日本がおかしくなりつつある要因ではないでしょうか。

 

○佐藤委員

 市長のご意見はそのとおりで,古典を大事にしようという動きは国語の教育界の流れの中にもあって,小学校の教科書に古典が取り入れられるようになってきています。そうなると,次は教員の問題になります。教員に対する研修の中で,そのあたりの意識付けを大事にしておく必要があると思います。

 

○熊谷委員

 市長が心配されているような国語力の問題は,指導する側の教員が意識して教えて,子どもに学ばせていかないといけないと思います。私自身,英語を小さいうちから使うような環境で育ってきましたので,その感想も含めてですが,小さいうちの言葉というのは,やらないよりはやった方が良いという程度ではないかと思います。ピアノの音感と同じで,小さいときから学ぶことは非常に大事なことですが,言語については,大体小学3年生以前に学んだものは,その後きちんとケアしていかないと,それきりになってしまいます。今,海外から帰国した子どもの教育に携わっていますが,3年生・4年生以前のものを維持するためには,親が相当頑張らなければいけません。私の次男も6歳までドイツ語を話していましたが,中学校で英語が始まったとき,聞き取ることはすぐにできるようになりましたので,小さい頃から外国語に触れていると,そのようなプラス面もあります。ちなみに,次男はもう37,38歳になりましたが,今はドイツ語を話していることは分かるけれど,何を言っているのかは全く分からないそうです。これから学校教育で行う英語についても,授業時数は週に1時間程度ですので,あくまでも外国語に触れるという観点で考えていくことが大事であると思います。

 

○会長

 小学生として本来学ぶべきことは犠牲にしない範囲の中で,ということですね。

 

○教育長

 小学5・6年生では,確実に1時間ずつ増えます。これからは,小学校でもある程度英語の読み書きをしていくということですが,これは,高校段階での語彙力を1.5倍にするという計画で,これは将来海外に行ったときに,臆することなく活躍できる日本人を育成するためには,現在の1.5倍の語彙力が必要だろう,というところから来ています。やはり,現代のグローバル化や東京オリンピック・パラリンピックの開催を考えたときには必要な部分ではないかと思います。

 

○会長

 私もドイツ語や中国語は大学に入ってから学びましたが,そこからだいぶ時間が経った今でも話せないことはありません。率直に言って,英語教育をそんなに早くからやる必要があるのかと思っています。そんなに小さなうちから取り組まないと,本当に国際力が身に付かないのでしょうか。本当はこの話をもっとしたいのですが,あまりにも時間がかかり過ぎてしまいますので,計画(案)の他の項目も見ていきたいと思います。ICT教育ですが,タブレット端末の配備は私の公約でもありましたので,1期目のときに各小・中学校に設置しました。他にも小・中学校では特に楽器の状態が酷かったので,現在5か年計画で更新していて,今年が3年目であったと思います。総額で4~5千万円くらいかかると思いますがどうですか。

 

○事務局

 小・中学校あわせて,5年間でそのくらいです。

 

○会長

 そのようなこともありますので,ICTについても,やはり身の丈に合った設置の仕方があると思います。国基準にはまだ及んでいないかもしれませんが,ここで企画財政部長に聞いてもおそらく良い返事はないかと思いますので,ここではなるべく早く国基準に追いつくように努力していくということにしたいと思います。

 

○千葉委員

 数としては国よりも少し遅れているようですが,情報機器はものすごく進歩が早いので,常に先々を見据えながら,最も狛江の子どもたちにふさわしいものを導入していっていただきたいと思います。

 

○会長

 ご要望ということで承ります。

 

○佐藤委員

 タブレットは5年くらい前に導入したと記憶していますが,これは買取りでしょうか。

 

○事務局

 買取りではなくリースです。小学校は,来年度リース更新になります。

 

○会長

 そのときに新しいものが取り入れられれば良いですね。

 

○事務局

 ぜひ新しいものは入れていきたいと考えています。ちなみに国が標準としている数字は「児童・生徒あたり3.6人に1台」です。現在,狛江市では「10.7人に1台」という状況になっています。

 

○会長

 身の丈に合ったところで考えていきますが,数字の面でも国の標準に近付けていけるように頑張りたいと思います。次に,学校図書館については,新しい学習指導要領では,もっと大きな学校図書館を目指しているということでしょうか。

 

○佐藤委員

 学校教育の目的や目標が大きな括りになってきていて,そのような学びをするためには学校図書館をさらに充実していかなければならない,という発想です。これからの学校図書館は,子どもに本を提供するだけではなく,教員の授業支援をしなければならないということで,その授業支援をする主体となるのが図書館司書であり,司書教諭である,という考え方です。

 

○教育長

 この実態は,市立図書館では既に顕在化していて,例えばパソコンを持ち込んで調べものをしたり,何か執筆をしたい人からは,図書館を調査・分析活動ができるような施設にしてほしいという声が上がっています。

 

○会長

 学校図書館の役割を果たすためには,現在は司書機能が弱いということでしょうか。

 

○佐藤委員

 決して弱いということはありません。狛江市では,学校司書の配置については,これまでも市からかなりご配慮をいただいていますが,新しい学習指導要領の中で学校図書館の役割を果たすためには,さらなる充実が求められているということです。

 

○教育長

 緑野小の図書館は,全国的に見ても先進的な構造をしています。

 

○会長

 現在の緑野小は,図書館司書が定着しないというような話も聞いていますが,その点はいかがでしょうか。

 

○教育長

 緑野小の図書館は,運営する労力が他校の倍くらいかかると思います。そこを1人の司書で運営していくことにかなり苦労があるのは事実です。

 

○事務局

 狛江市の学校司書は,全国にも誇れるくらい献身的に研究して,授業にも大きく関与しています。月16日・1日6時間の勤務の中で,子どもたちを受動的な図書から能動的な図書にしていくことが必要という中で,図書館司書と司書教諭の役割がどちらも課題として出てきています。その中でさらに充実させるためには,現在の体制や勤務時間では限界があるかもしれない,というのが現状です。

 

○会長

 やはり司書が力を発揮できるような環境でないと,図書館の効果は充分には発揮できないと思います。 

 

○佐藤委員

 授業を行うときに,新聞や雑誌の資料はそのまま子どもには与えられないので,子どもが使えるよう二次資料にするといった役割が学校司書に求められるようになってきています。

 

○熊谷委員

 本来であれば緑野小の図書館のような施設が他の学校にもあるのが最も好ましいと思いますが,全校にそれを広げたときのランニングコストを考えると,どこかにセンター機能を置き,そこを中心にして取り組んでいく方が良いのではないかと思います。例えば,教員が授業に使うためのデータが欲しいのであれば,そのセンターに繋ぐと必要なデータが取れる,という方法であれば,オンラインでできますので,効率も良いのではないかと思います。

 

○会長

 確かに,学校司書を最も機能させるためにどのような環境が必要か,ということは重要な問題です。他に,教員の支援という観点ではいかがでしょうか。

 

○教育長

 市のサーバーの中にどんどん授業の情報をストックして,教員が必要なときにそれを引き出して,授業に活用できるようなIT環境が必要ではないかと思います。

 

○千葉委員

 教員も普段あまり時間がないなかで,どのように有効な授業準備をしていけるのか,ということを考えると,ITでケアしていくことはとても大切なことだと思います。

 

○鈴木委員

 例えば,チョークで黒板に板書せずに,電子黒板にパッと板書を出すことで,算数だと2~3問多く解けるなど,効率も上がっていきます。また,狛江第三中学校でオンライン英会話の授業を見せていただいて,第三中学校だけではもったいないと思いました。外国の人とオンタイムで会話ができる機会というのは,市内全校に広げていきたいと思いました。

 

○会長

 そろそろ時間になります。議題1については,この計画の内容に対しては特に異論が無かったように思いますので,この計画(案)は異議なく了承することとして,そのうえで,それぞれの事業が抱える課題を共有した,ということでこの協議を終了したいと思いますが,よろしいでしょうか。

 

○教育長

 異論はありません。

 

○会長

 それでは,ここで了承をいただいたということで,狛江市教育大綱・狛江市第2期教育振興基本計画実施計画は,後日の庁議に諮りたいと思います。
 次に,「協議・調整事項(2)自閉症・情緒障がい固定学級の設置について」事務局から説明をお願いします。

 

○事務局

 「協議・調整事項2.自閉症・情緒障がい固定学級の設置について」説明します。
 まず,「1.背景」ですが,狛江市では,自閉症や情緒障がい等で特別な支援を必要とする児童・生徒は増加傾向にあり,小学校の特別支援教室では,24年度に74名だった利用児童が,29年度には172名となり,この5年間で2倍以上増加しています。また,近年の就学相談の状況などを見ると,自閉症・情緒障がいの固定学級の利用が望ましいと思われる児童も増加傾向にあり,今後も,当面はこの傾向が続くと推測されています。また,以前より,福祉関係団体や校長会からも設置の要望を受けていたことを踏まえ,この自閉症・情緒障がいの固定学級の設置の具体化に向けて,教育委員会で検討を開始することとしたものです。次に「2.狛江市の現状」です。現在,狛江市の特別支援学級につきましては,知的障がいを対象とした固定学級を狛江一小,緑野小,狛江一中にそれぞれ設置しています。また,自閉症・情緒障がいの固定学級につきましては,小学校には設置がなく,中学校1校のみとなっていますが,こちらは,通学を希望する生徒がおらず,19年度から休級となっています。一方,情緒障がい等を対象とした通級学級・特別支援教室につきましては,小学校では全校,中学校もモデル事業期間ではありますが,同じく全校で行っている,という状況です。次に,「3. 新設する固定学級の規模(見込み)」です。現在,検討の途中ではありますが,来年4月1日の開設をめざし,市立小学校1校に,1学級設置することで考えています。また,設置校は現在調整中。対象となることが想定される児童は20名程度で,このうち,開設当初には4名程度の在籍を見込んでいます。次に,「4. 今後の流れ」です。来年4月の開設を目途に,施設改修や備品整備などのハード面と,児童や保護者に対するアナウンスや就学・転学相談も含めたソフト面の両面から,固定学級の開設に向けた準備を,順次進めていきたいと考えています。最後に,「5. 課題」ですが,まずは,当初,固定学級を開設するにあたって,支援を必要とする子どもたちのニーズをきちんと汲み取り,児童数を確保していくこと。あわせて,市内に1箇所だけ,ということになりますので,通学にかかる児童や保護者の負担を考慮し,状況によっては何かしらの対応をしていく必要があること。そして,この次の段階として,小学校卒業後の児童の受け皿として,中学校の固定学級についても考えておく必要があること。最後に,開設した固定学級を引き続き継続して維持していくこと。教育委員会としては,特にこれら4点を当面の課題として考えています。現在,教育委員会で検討している内容は以上です。本日は,この内容を市長と教育委員会の双方で共有し,協議・意見交換をお願いできればと思います。
 説明は,以上です。

 

○会長

 それでは,質疑・意見交換を行っていきたいと思います。

 

○千葉委員

 私は,以前幼稚園教諭をしているときに自閉症の子どもを見ていたことがありました。その子どもは,保護者が子どもに障がいがあることを認めたがらず,通常クラスに入れてほしいということで入園してきました。結局,その子は幼稚園にいる間も,いつの間にかに外に出て行ってしまったり,教室の隅に座って電車の駅名を繰り返し言ったりしていました。その子は4歳でしたが,どこかに行ってしまわないように,いつも抱っこしていたことを覚えています。その子もだんだん成長していきましたが,やはりその子にふさわしい教育課程で指導していくことは,子どもにとっても,保護者にとっても,教員にとっても必要なのではないかと思います。固定学級ができることは素晴らしいことだと思いますので,色々なことに十分に配慮しながら,保護者も含めてサポートしていただきたいと思います。

 

○会長

 今は自閉症・情緒障がいの固定学級はないのでしょうか。

 

○事務局

 小学校にはこれまでなく,中学校には以前はありましたが,現在は休級中です。

 

○教育長

 現在の小学校の中に,固定学級が相応しいという子どもたちがどのくらいいて,就学相談の状況はどのようになっているのでしょうか。

 

○事務局

 資料のとおり,ここ数年の就学相談の状況から,対象児童は20名程度と考えています。ただ,対象であっても,現在既に通常学級と特別支援教室に通っている子どもにとって,新たな環境になることのマイナス面を考えると,当初,固定学級に通う児童は4名程度と考えています。初めは少人数でも,適正な指導を行っていれば,児童は増えてくると思います。また,保護者には,就学相談の中で,医師の診断や発達検査,幼稚園・保育園・学校での様子などを調べたうえで総合的な視点からその子に最も適した学級を判定していることを説明していますので,引き続き丁寧に説明していきたいと思います。

 

○鈴木委員

 このような子どもを育てている保護者には色々と苦労があると思います。保護者自身も戸惑う中で,周りにいる子どもや保護者が,そのことを理解する心が必要だと思います。障がいがなくても,子どもにはそれぞれの特徴や傾向があって,その中でたまたま皆と一緒に学習できない事情があります。このような学級を特別な目で見ない心が,保護者から子どもにも伝わると思いますので,他の保護者が理解できるような説明をしてもらえる機会があると良いと思います。

 

○会長

 来年度,小学校に固定学級を新設するということについてはどうでしょうか。

 

○鈴木委員

 自閉症の子が過ごしやすく,学習しやすい環境の中で,知的障がいの子どもとは別のプログラムで学習を進められることが望ましいと思います。例えば,周囲の音が人より大きく聞こえる聴覚過敏の子が集団の中で生活することはかなり困難なことだと思いますので,固定学級にする必要性を感じます。しかし他の友達とコミュニケーションを取りたい気持ちもあると思いますので,通常学級との関わりのバランスも大事だと思います。

 

○佐藤委員

 私は,知的障がいよりも,自閉症・情緒障がいの子の方がより個別の対応が必要となるようなイメージがあるのですが,いかがでしょうか。また,学級編制基準が8人というのは知的障がいと同じですが,この自閉症・情緒障がいの固定学級を新設することにより,知的障がいの子よりもさらに個別の指導が必要となると,教員や介助員を別に配置するシステムも必要ではないかと思います。

 

○事務局

 教員配置は,知的障がいと同じく8人につき1人です。また,狭い空間の方が集中できたり,反対に閉鎖恐怖症の子など,子どもにより異なりますが,自閉症・情緒障がいについては,限られたスペースを好む子どもが多いように感じています。その子どもたちも社会自立をめざしますので,小グループでの活動を増やすようなプログラムは必要だと感じています。

 

○会長

 少なくとも1つの固定学級は必要だということですね。

 

○事務局

 この市の規模であれば必要です。他県では1校に1学級ずつ知的障がいと発達障がいの固定学級が併設されているところもあります。

 

○佐藤委員

 知的障がいの子の介助員は,どの位の割合で配置されているのでしょうか。

 

○事務局

 それぞれの子の状況によりますが,現在,狛江第一小学校であれば3名と,疾病の関係で特にケアが必要な子に1名付いています。

 

○熊谷委員

 以前,自閉症・情緒障がいの固定学級を中学校につくったが,現在は閉級状態になっていることが気になります。この原因はどのように捉えているのでしょうか。

 

○事務局

 当時,狛江第一中学校に在籍していた教員の話では,当時,情緒障がい固定学級に通っていた子が,本来,都立の特別支援学校が適しているような子であったり,知的障がいの子であったりして,対象の生徒の線引きが曖昧になっていたと聞いています。その結果,どのような子どもを対象としているか不明確になっていき,希望者が減り,最終的にはいなくなってしまったようです。今回,小学校に設置するにあたり,特にこの辺りをしっかりとしておく必要性は認識しています。

 

○教育長

 かつて他の地域でこのような形でスタートして,年々,重度の子どもが通うようになり,そうするとそこに在籍したいと思っていた保護者が「自分の子はここまで重度ではない」と言って通わなくなってしまう傾向がありました。外から見たときにも,どのような子どもを対象としているのか明確にしておかないと,学級が持続できないと思います。特に対象とならない子どもの保護者には,適正な場所を粘り強く伝えていく必要があると思います。

 

○千葉委員

 知的障がいの固定学級が存在する学校と同じ学校に情緒障がいの固定学級を設置することに対する難しさは,以前,教育委員会でも議論しました。やはり学級の特性や違いが外から見ても明確に分かるように運営することが必要ではないかと思いますが,その辺りはどうでしょうか。

 

○会長

 設置校については,どのような考え方になりますか。

 

○事務局

 設置校の選定にあたっては,先ほど千葉委員が仰った教育課程や指導の部分に加えて,それぞれの学校のハード面の状況とあわせて考えていきたいと思います。例えば,一部の学校では,今後,通常学級の児童数が増える傾向があり,普通教室が足りなくなるおそれがある学校もあります。いずれにしても,設置校の選定にあたっては,ソフト・ハードの両面から検討し,学校と調整していきたいと考えています。

 

○会長

 自閉症・情緒障がい固定学級の設置については,本日の議論を1つの契機として,引き続き教育委員会で検討を続け,来年度の開設に繋げてもらうこととして,この議題を終了したいと思います。
 最後に「その他」です。事務局から今後の予定を説明してください。

 

○事務局

 それでは,事務局から,今後の予定についてご案内します。
 次回の総合教育会議は,9月の開催を予定しています。開催にあたり,日程その他必要な事項は,改めて個別に調整をさせていただきます。
 事務局からは以上です。

 

○会長

 本日の案件は他にないようですので,これで平成29年度第1回狛江市総合教育会議を閉会します。