「市民参加と市民協働の推進に関する基本条例の見直しの方向について」

1.前期基本計画における条例見直しの課題
「狛江市総合計画 第3次基本構想・前期基本計画」(平成22年3月策定)による第2部 前期基本計画では、「第1章 まちづくりの原則 」として「1.市民参加と協働のまちづくり」を取り上げ、施策小項目3として「市民参加と市民協働の推進に関する基本条例の見直し」について、「市民参加と市民協働がより一層活発に行われるよう、現状の課題を分析・検討し、行政の基本ルールの確立とも関連して基本条例の見直しに取り組みます。」と言及しており、その目標を平成24年度としている。この基本条例が制定されたのは平成15年3月であるから、平成24年度末、すなわち平成25年3月はちょうど制定10年目に当たり、それまでの10年間の運用実績を踏まえて見直し改正するにはタイミングとしても適切である。
ここで考慮すべきことは、「行政の基本ルールの確立とも関連し」という点である。これに関しては、前期基本計画「第2章 行財政運営」の「3.自治体としての自立と広域連携」における施策小項目2として「自治体運営の基本ルールの検討」を取り上げ、次のように述べている。「市民が主役の市政運営を進めていくために、市民参加・市民協働の進捗と市民の機運を考慮したうえで、自治体運営の基本ルールの検討に入ります。このルールの検討は、既存の市民参加と協働の推進に関する基本条例の見直しの際に、市民の主体的な参加のもとに議論を重ねながら進められるよう、市民主体の検討機関において行います。」。ここでいう「自治体運営の基本ルール」については具体的な記述はないが、一般的には「自治基本条例」のようなものが想定される。なお、この基本ルールに関しては、策定の目標年次は定めていない。
ここで、市民参加と市民協働の推進に関する基本条例(以下「参加・協働基本条例」という。)の改正を審議するに当たっては、この基本ルール(仮に「自治基本条例」とする。)とどのように関係づけるかが、一つの課題となる。これについては、①参加・協働基本条例を自治基本条例の一部に含ませるか、②参加・協働に関する理念だけを自治基本条例に定め、参加・協働基本条例はその具体的な取り組みを定めた特別条例として独立したものとするかの、二つの考えがあろう。
また前期基本計画では、参加・協働基本条例の見直しと関連する項目として、「第1章 まちづくりの原則」の「1.市民参加と協働のまちづくり」における施策小項目2に【主な取り組み】として「市民活動支援センターの設置」を記している。この設置についても特に目標年次は定められていないが、早期の実現が期待され、その法的根拠をどう定めるかが課題になる。これについては、①参加・協働基本条例の中に新たに具体的な設置に関する条項を定めるか、②参加・協働基本条例には設置の理念のみを定めて新たに独立した設置条例を制定するかの、二つの考えがある。
以上の二つの課題に関しては、今後の基本ルール策定の進め方や市民活動支援センター設置の進め方によって流動的に対応していくべきであるが、それらの進め方の方針が定まるまでは本審議会が独立先行して審議することを前提に、いずれも②を想定して議論を進めていくこととする。ただしこの前提が変われば、その時点で流動的に対応していくべきものと考える。

2.条例見直しの内容
 参加・協働基本条例は、制定後3年目に見直しを行い、平成19年3月に改正を行っている。この改正は市民参加や市民協働を市民側から提案するための手法を追加したもので、既存の条項に関する検討や見直しは行っていない。平成24年度に向けた見直しの内容としては、この経緯も含む8年間の運用実績をふまえ、次の3点が重要になろう。
(1) 現状の規定に問題はないか、その理念は生かされているか、条例に定めた諸施策は現実に機能しているか、もしそうでなければ、どうすればよいか。
(2) その後の社会の動きも踏まえ、さらに参加・協働を積極的に推進するための市民及び行政の側からの新しい工夫や提案はないか、あればそれをどう反映させるか。
(3) 条例制定後の他都市の動きの中に、特に狛江市において適用すべき参考事例はないか、あればどのように狛江市に適用していくか。
 (1)は修正項目、(2)(3)は追加項目ということになる。本年度の審議会では、(1)については若干の議論を行ったので論点を参考資料1に添付しておくが、(2)(3)に関しては、未だ議論を深めていない。
なお、これらの検討と並行して条例構成上の法形式や表記等の不備についても検討が必要であるが、これについては基本的には法務担当部署において行うべきものと考え、審議会での主要な審議事項とはしなくてよいであろう。また直接的に見直す対象は条例本体であるが、関連して同条例施行規則及びこれらに基づいて制定された推進指針、各種マニュアル等についても視野に入れておく必要がある。これらの事項も含めた条例改正の課題として審議会委員から私案として提出された論点メモを、参考資料2に添付しておく。

3.条例見直しの体制
 見直しは当審議会を中心に行うが、より幅広い市民的視点や専門的視点を反映させながら短期間に密度の高い検討を行う観点から、別に分科会を設けて集中的に審議することが必要と考える。この分科会での審議過程では、幅広く市民の参加を求める場を設けるべきである。基本ルール自体の検討については、前期基本計画にも「市民の主体的な参加のもとに議論を重ねながら進められるよう、市民主体の検討機関において行います。」と記されており、基本ルールと密接に関係する参加・協働基本条例の改正にあたっても、この精神を反映させることが大切であろう。
 
4.条例見直しのタイムスケジュール
先にも見たように、「前期基本計画」では参加・協働基本条例は平成24年度に見直すことになっているから、その作業は平成25年3月までの条例改正に向けて行えばよいことになる。しかし現審議会委員の任期が平成23年度までであることを考えると、日程的にはやや厳しくなるが、平成23年度中には改正案を作成しておくことが適切と考える。従って、審議は以下のスケジュールで行うことを提案する。ただし日程については、基本ルールの策定スケジュール等により、適宜、変更もありえる。
平成23年
5月 分科会設置による基礎的検討開始
8月 市民フォーラムにて分科会での経過を報告し、その後、ワークショップ形式などで市民との意見交換を行う。
12月 条例改正素案のまとめ 
平成24年
1月 条例改正素案に対するパブリックコメント
3月 パブリックコメントを受けての条例改正案の作成・答申
なお、同条例施行規則の改正案については並行して事務局で検討する必要があるが、参加・協働推進指針や各種マニュアル等の改正については、条例改正を受けて平成24年度の審議会で行うものと考えている。
今回の見直しに関しては、その過程そのものが狛江市に新しい機運を生み出し、参加・協働の飛躍的な推進につながることが期待されるので、審議の体制やスケジュールについては、その点も十分に配慮すべきであろう。

参考資料1.pdf [110KB pdfファイル]  基本条例等の課題としてあげられる項目(事務局整理)
参考資料2.pdf [160KB pdfファイル]  基本条例見直しの方向性について(飯田委員論点メモ)