市内ではいろいろな分野で、ボランティア活動が展開されている。
ボランティアの草分け的存在は、民生委員といってよい。旧制度の方面委員制度が東京(当時は東京府)に設置されたのが大正7年6月で、現在の民生委員法もできてから40年を超すという古い歴史と伝統に支えられている。
 町制施行当時、10人程度の民生委員が、61年には45人となった。従前は、生活保護実施の補助機関など個人的活動が中心であったが、現在では民生委員協議会を組織し、毎月1回、定例会を開催したり、福祉バザーを共催したり、部会を組織して調査・研究するなど、組織的活動も多く行われている。
 保護司は、罪を犯した人の矯正および更生を助けるとともに、犯罪の予防のため世論の啓発に努めることを使命としている。平成元年7月現在、14人の保護司が分区保護司会を組織し、地道な活動を続けている。
 民生委員は厚生大臣から、保護司は法務大臣から直接委嘱を受けているので、公的なボランティアである。このほか、公的な福祉ボランティアには、友愛訪問員、日赤奉仕団、青少年健全育成委員会などがある。
 友愛訪問員は、49年6月に制度化され、11人で発足し、現在は24人が市長から委嘱を受け、活躍している。一人暮らし老人世帯等を訪問し、安否の確認と、孤独感の解消に努めるほか、老人給食サービスの配食も行っている。
 日赤奉仕団が狛江市に組織されたのは、52年10月11日。赤十字の博愛人道の精神に基づき、明るく住みよい社会を築き上けていくために必要な実際的事業に奉仕することを使命とし、狛江市婦人会、ときわ婦人会、農協婦人部のメンバーが中心となり、57人の団員で発足した。結成当初は、献血事業の奉仕活動が中心であったが、現在では裁縫奉仕、血液センター事務奉仕など、広範な奉仕活動を実施しており、団員は平成元年5月現在、105人である。
 青少年健全育成委員会が狛江市内に組綱化されたのは、54年5月である。地域社会における青少年の健全育成を図ることを目的に、自主的組織として中学校単位に現在4つの育成委員会が設置されている。雑誌自動販売機の撤去運動など子ども社会の環境浄化や、家庭教育の重要性の啓発活動などに積極的に取り組んでいる。
  狛江市社会福祉協議会では、49年の社会福祉法人化後、間もなくボランティア活動推進機関としての活動を開始しているが、50年9月、視覚障害を有する市民から「市内の情報がほしい」という声を聞いて芽生えた「声のボランティア活動(声の広報)」への側面的援助がその始まりである。現在では、さまざまな分野にグループや個人によるボランティア活動が行われるようになり、ボランティアグループは22グループ523人である。
 高齢化社会の進展に伴う社会福祉課題の変容と住民の求める社会福祉サービスは、行政によるサービスだけでは解決できない状況となっているので、今後ともコミュニティ・ボランティア活動が育っていくことを期待している。