市立保育園で障害児保育を始めたのは、駄倉保育園で昭和51年5月からである。
 最初は、発達の遅れと自閉傾向の男児1人女児2人の3人で、新しい取り組みにまったく経験のない職員は、熱意だけは持っていたが、園の生活になじめない子どもをどのように導いてよいのか、困ることがしばしばであった。
 統合保育なので、仲間の子どもたちとは、間もなく仲よくなり、その中で、徐々に友だち関係が育っていった。
障害児保育に、職員は園一丸となって取り組んだ。臨機に対応し障害児の生活に密着して、子どもと学ぶ形で進めていった。
 日々の保育に追われる中で、障害児研修などには努めて参加し、保健相談所の心理判定員に子どもの様子を話しては指導を受けた。2年を経過した頃、どうしても実際の係わりの中で、ポイントをとらえてのアドバイザーの必要性を痛感し、53年度から、障害児保育相談員を委嘱することにした。
 精神的な障害を持つ子どもたちを臨床面から数多く手掛けられ、自閉症の分野で最先端を歩まれている小児精神科医の佐々木先生に白羽の矢を立てた。
 4月14日の午後、園長、主任、課長の3人で、新宿の日本女子医大へ佐々木先生を訪ねた。お忙しい中をそそくさと診察室からお見えになった先生に、単刀直入に、障害児保育相談員のお願いをした。
 案ずるより生むが易し、「お役にたつようでしたらどうぞ。」と、即座に快く引き受けてくれた。関係者の喜びはひとしおであった。
 それ以来、佐々木先生の実に的確なご指導の下、保育園での統合保育に、職員一同自信を持って対応している。